内容説明
女性ジャズピアニストが世界的ロボット工学者から受けた奇妙な依頼。それが人類の運命をゆるがす事件の始まりだった。電脳内で生き続ける命、迫り来るウイルス大感染の危機―ヴァーチャル新宿から近未来の南アフリカまで、AI技術による人間観の変容を通奏低音に奏でる、類のないエンタテインメント小説!
著者等紹介
奥泉光[オクイズミヒカル]
1956年山形県生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士前期課程修了。’93年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、’94年「石の来歴」で芥川賞、2009年『神器 軍艦「橿原」殺人事件』で野間文芸賞、’14年『東京自叙伝』で谷崎潤一郎賞、’18年『雪の階』で柴田錬三郎賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kk
11
いやいやいや、奥泉先生、遊ぶ遊ぶ。これこそまさに「ビ・ボップ」ってことかな。と、ここでハタと思い当たったのは、これって、ひょっとして『鳥類学者のファンタジア』が本歌になってんじゃないの?やば、まだあれ読んでないよ、とり返しのつかんことしちゃったかな、とか思ったんですけど、このお話はこのお話でそれ自体面白かったんで、まぁいいや、そのうち気が向いたら読も、なぁんて、気分はすっかりフォギーさんです。とにかく、奥泉先生、凄いです。天才かも、とか思っちゃいました。(賛成してくれる人は少ないかもしれんけどね。)2020/05/07
白いワンコ
9
『雪の階』から『鳥類学者のファンタジア』『ビビビ・ビ・バップ』を再読。自分史上最も愛すべきヒロイン、フォギーの遺伝子を存分に堪能しました。未知の生体ウイルスがタイムリーに登場するものの、それは実にどうでもよくて(笑)、本邦でロンギヌス物質を扱う二大SF作品即ち「新世紀エヴァンゲリオン」とフォギーの物語の知名度の差を思えば、エヴァが完結した今、この先の未来はもちろんのこと、29virusの大感染で憤死したという池永霧子と山萩氏・山萩氏と木藤檜の物語などもぜひ物して頂きたく、切に奥泉先生へお願いする次第です2021/05/20
白いワンコ
9
いやぁ、スゴイ。近年読んだ小説では『図書館の魔女』に匹敵する面白さ。ありとあらゆるゴージャスてんこ盛りプロットがもたらす爽快感と含み笑い、これじゃマトモな感想なんて書ける訳ない。60年代と21世紀末の新宿を瞼の奥に浮かべつつ、2010年代末の新宿を目にできる幸福に感謝。最高絶対のオススメです!2019/06/26
タコチュウ
8
昔読んだニューロマンサーを思い出した。解説でもニューロマンサーが引き合いにだされているけれど違う観点から。主人公や登場人物はもっと軽いけれども面白かった。2020/12/16
YH
7
なんて壮大でワヤワワした物語なんだろう。人間対コンピュータって良くあるモチーフを彩るジャズと60年代の日本というか新宿の文化。長い物語に詰め込まれたあれこれが非常に面白かった。主人公のフォギーが危機的状況でも、おとぼけを繰り出して作られる空気感が好き。2021/07/31