出版社内容情報
フランスを代表する哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941年)が残した主著の一つである『物質と記憶』(1896年)については、すでに7種もの日本語訳が作られてきた。そのすべてを凌駕するべく、第一級の研究者が満を持して新たに訳出した本書は、簡にして要を得た「訳者解説」と相俟って、日本語でベルクソン哲学の真髄を伝える、文字どおりの「決定版」である。今後、本書を手にせずしてベルクソンは語れない。
フランスを代表する哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941年)が残した主著の一つである『物質と記憶』(1896年)については、すでに7種もの日本語訳が作られてきた。1914年に初版が刊行された高橋里美訳(星文館。1936年には岩波文庫に収録)のあと、戦前には北れい吉訳(新潮社、1925年)が、そして戦後になると、田島節夫訳(白水社、1965年)、岡部聰夫訳(駿河台出版社、1995年)が続いたあと、近年は、合田正人・松本力訳(ちくま学芸文庫、2007年)、竹内信夫訳(白水社、2011年)、熊野純彦訳(岩波文庫、2015年)が数年おきに刊行されてきている。
そのような状況の中、ここに生み出された新訳は、19世紀フランスに見出される唯心論の潮流をもフォローしつつベルクソン研究を最先端で支える第一級の研究者が満を持して送り出すものである。既訳のすべて、そして公刊された原文のエディションすべてを比較・検討した上で、日本語としての読みやすさへの配慮はもちろん、「単語単位での一対一対応の翻訳」を徹底的に排して「ベルクソンの議論や論証の流れをできるかぎり正確かつ明晰に写す」ことを目指して造り出された訳文は、どの既訳とも異なる、まさにベルクソンの思考の息吹きを伝えるものとなった。
学位論文『意識に直接与えられたものについての試論』(1889年)のあと、ベルクソンが「イマージュ」を軸に据えて展開した思考は、どこへ向かうのか? 本書では、簡にして要を得た「訳者解説」で読解のための道標を立て、1. 主観ないし意識とは、閉じたカプセルのようなものではない、2. 主観と客観は、時間的スケールに関して区別される、3. 過去の実在論、4. 前進的生成、「記憶力」と「記憶」というポイントを提示する。このあと『創造的進化』(1907年)、『道徳と宗教の二つの源泉』(1932年)へと展開されていくベルクソン哲学の真髄を伝える本書の「決定版」を、今ここにお届けする。
内容説明
フランスを代表する哲学者アンリ・ベルクソン(一八五九‐一九四一年)が残した主著の一つ(一八九六年)。「心身問題」を正面から取り上げ、実在論と観念論の対立の超克を探究する。第一級の研究者が満を持して送り出すこの新訳は、簡にして要を得た「訳者解説」をも収録した文字どおりの「決定版」である。ベルクソンを読むための、新たな出発点。
目次
第1章 表象化のためのイマージュの選別について―身体の役割
第2章 イマージュの再認について―記憶力と脳
第3章 イマージュの残存について―記憶力と精神
第4章 イマージュの限定と固定について―知覚と物質。魂と身体
要約と結論
著者等紹介
ベルクソン,アンリ[ベルクソン,アンリ] [Bergson,Henri]
1859‐1941年。フランスの哲学者
杉山直樹[スギヤマナオキ]
1964年生まれ。現在、学習院大学教授。専門は、フランス哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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