出版社内容情報
東京、ハワイ、オレゴンと、ジニは学校からたらい回しにされてきた。ホームステイ先で彼女は、五年前の出来事を語りはじめる。在日韓国人として生まれた、朝鮮語がわからないまま、過ごした朝鮮学校での日々。居場所を見つけられず、二つの言語の間で必死に生きるなか、あの日、テポドンが発射される。第59回群像新人文学賞受賞作。第155回芥川賞候補作。
内容説明
東京、ハワイ、オレゴンと、ジニは学校からたらい回しにされてきた。ホームステイ先で彼女は、五年前の出来事を語りはじめる。在日韓国人として生まれ、朝鮮語がわからないまま過ごした朝鮮学校での日々。居場所を見つけられず、日韓の二つの言語の間で必死に生きるなか、あの日、テポドンが発射される。
著者等紹介
崔実[チェシル]
1985年生まれ。2016年、『ジニのパズル』で第59回群像新人文学賞、第33回織田作之助賞、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
私はまだまだ知らないことだらけなのだと思う。無知による思い込みからも偏見が生まれる、そのことを忘れずにいたい。人種に限らず差別する側に廻りたくないという気持ちは、ここ数年でいっそう強くなっている。その気持ちを大事にしたい。また、小説としても、ひとと世界との関わりを描く普遍性を持った作品である。力強く叫ばれているメッセージを、読者すべてが正面から受け止める必要がある。2019/03/22
Shoji
56
誰にも見せない感想ならいくらでも出てくるが、投稿する感想となれば非常に難しい。いや、気を遣う。それだけ、北朝鮮の民族や政治問題の根っ子は深いのかな。私の職場の後輩にもかつて在日三世の子がいた。祖国は北朝鮮である。この本の表現を借りれば、糞国家である。彼もテポドンが飛んだ時、思い悩み苦しんだのであろうか、糞国家を恨んだのであろうか。当時、私は彼に何もできないでいた。考えさせられる一冊だった。2019/06/19
ちえ
42
子供の頃、近くの土手の上の道をチマチョゴリを着たお姉さんが歩いていたのを思いだした。途中動悸がするほど辛い読書。在日三世である作者の体験がベースにある。同じ国の中にこれほど苦しい体験をする子供がいる、テポドンの時の生徒たちへの悪意、今もあるヘイト。複雑な歴史、国が持つ非人道的なもの。解説を読み知らなかったと知りまた考えさせられる。それだけではなくこの本からはジニの年代の子供たちが持つ、場合により自分をも他者をも否定してしまうピュアさが痛いほど伝わる。群像新人文学賞受賞作、芥川賞候補にもなった。2021/06/30
ちゅんさん
42
読んでて苦しかった。この不条理で残酷な世界を一人で戦った少女の話。ジニに限らず在日朝鮮人の子たちは大変だろうな、毎日が戦いじゃないか。日本人として日本で生活する私にジニの気持ちを完全に理解することは難しいかもしれないが、在日朝鮮人について、またそのような境遇の人たちについて想像し考えるきっかけをくれたこの本はとても価値があると思う。2020/01/15
James Hayashi
37
群像新人文学賞、織田作之助賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。芥川賞にノミネート(受賞はコンビニ人間)。在日朝鮮人の内面的怒りを如実に表した力強い青春小説。著者本人も在日韓国人で日本語で育ちながら朝鮮学校へ入れられ苦労を乗り越えた。北朝鮮がテポドンを打ち上げ環境が変わる。日本国全体が敵になりジニも憤りを納めることができず国家元首と対立していく。スケール感があり筆力のある文章。また在日朝鮮人の苦労を窺い知ることができる。今後の作品に注目していきたい作家が増えた。2019/04/03
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