出版社内容情報
少女たちを襲ったおぞましい事件から三箇月。相次ぐ殺傷事件と三十数年前の一家惨殺事件との奇妙な符合は何を意味するのか?前回事件の被害者・来生律子の許を訪れた作倉雛子は、小壜に入った毒を託し、姿を消した。相次ぐ殺傷事件と三十数年前の一家惨殺事件との奇妙な符合。少女たちは再び動き出す。戦慄の近未来ミステリ。
京極 夏彦[キョウゴク ナツヒコ]
著・文・その他
内容説明
少女たちを襲った悍ましい事件から三箇月。来生律子の許を訪れた作倉雛子は、小壜に入った“毒”を托し姿を消した。相次ぐ殺傷事件、三十数年前の一家惨殺事件との奇妙な符号、彼女らを監視する何者かの影。少女たちは再び動き出す。巧緻に張り巡らされた伏線が思いもよらぬ収束を見せるシリーズ第二弾。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年北海道生まれ。’94年『姑獲鳥の夏』でデビュー。’96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞受賞。’97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、’04年『後巷説百物語』で直木賞、’11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞を受賞。’16年遠野文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
77
文庫で再読です。『ルー=ガルー』第2弾。事件から3ヶ月後、少女たちは「毒」を託され、周囲では謎の「人の凶暴化」の現象が。相次ぐ殺傷事件が30数年前の事件とリンクしているのに鳥肌が立ちました。序盤はじわじわと日常が腐るように侵食され、後半はスピード感のある展開のように感じました。きっとどこかでリアルを選びつつ、駆け抜けているのかもしれません。前作から10年後に出た続編ですが、そんなことを感じさせないほどの世界観でした。2019/01/21
『よ♪』
59
前作から3か月後、事件に巻き込まれた少女たちが何者かに監視され狙われる。新たに登場する公安の警部はこの事件が大手製薬会社の30年前の実験に起因すると語る。少女たち、大人たちのパートが交互に展開し緊迫感を煽る。実は本作品、前作であちこちにばら撒かれて放置されたままになっていた伏線をひとつずつ回収していく"解答編"になっている。これが非常に楽しい。『あぁ!あれはそういうことだったのかっ!』となること必至。前作同様に"Well Come!ご都合主義っ!"なエンタメ性はそのままに奥行きも増している。これは面白い!2019/02/22
優希
36
再読です。「毒」を託し消えた少女。まわりでは「人の凶暴化」の文字。相次ぐ殺傷事件が過去の事件とリンクしているのに鳥肌が立ちました。じわじわと日常を貪るような侵食からスピード感のある展開へと移りゆく風景は、少女たちが再び動き出す暗示だったのですね。リアルを選びつつ駆け抜けていくのかもしれません。巧妙な伏線が思わぬ方向へと導かれるのも印象的です。2024/01/08
geshi
31
何か不穏なことが起こっているはずなのに、それに気づけない気味の悪さが中盤過ぎまで読んでいる間ずっと引きずり、終盤で一気にギアを挙げて振り切る寸前までスピーディーに展開する。不安と解放のベクトルを操るストーリーテリング。ヒーローものとしてのお約束も入れ込んだエンタメも踏まえつつ、京極節全開で様々な固定概念が突き崩される読む憑き物落とし。続編というよりも完全に後編みたいな形で回収されなかった伏線を拾っていって壮大なパズルを完成させてしまうなんて、どこまで考えてんだ。2019/04/23
Yuki
19
ルー=ガルーの事件から3ヶ月後、過去の遺産であるバイクを自宅で密かに修復している来生律子のもとに作倉雛子が現れる。毒が入っているという小瓶を律子に託し、姿を消す雛子。そして先の事件の後に警察を辞した橡(くぬぎ)は、30年前に友人が起こした一家惨殺事件を個人的に追うため動いていた。現在に相次ぐ暗殺者の仕業のような殺人と30年前の事件、そして「毒」。破天荒な美緒、「狼」の歩未、アウトローに暮らす麗猫といったお馴染みのメンバーも加わり、最後に辿り着く真実は。楽しいエンタメでありながら、今にリンクする要素がある。2020/05/13