出版社内容情報
范蠡(はんれい)は、いかにして出世の階段を上り詰めたのか? 呉の英雄・伍子胥の宿敵であり越の英雄・范蠡の知られざる半生を描く楚の出身である范蠡(はんれい)は十二歳の時、家族と住居を盗賊の襲撃により失った。奇跡的に難を逃れた彼は、父の親族がいる越の会稽へ移り住み、賢者・計然のもとで学ぶ。ここで親友の種(しょう・後の大夫種)と出会い、優秀な二人は二十代半ばにして太子・句践(くせん)の側近に抜擢される。やがて、越に呉が攻め入ると、范蠡は策略をめぐらし越を救う存在となるのだった。謎多き忠臣を活写する、中国大河歴史ロマン第7弾!
宮城谷 昌光[ミヤギタニ マサミツ]
著・文・その他
内容説明
超大国の楚を征服していちどは南方の雄となった呉が越を潰しにくる。先君の喪に服していた句践が姿を現し、無援で戦うと宣言。勝機はあるかと周囲に問われた近臣の范蠡はいう。「伍子胥は鬼才ですが軍政の長ではありません。孫武のころとくらべれば、威力は半減しています」春秋戦国時代絵巻、新たな范蠡篇へ!
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945年愛知県蒲郡市生まれ。『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を、『重耳』で芸術選奨・文部大臣賞を、『子産』で吉川英治文学賞を受賞。中国古代に材をとった歴史ロマンの第一人者。2006年に紫綬褒章、’16年に旭日小綬章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
このシリーズも忘れてしまっています。伍子胥の篇が終わって、宮城谷さんが本当は最初に書きたかった范蠡の話になりました。幼少のころから書いていて、有名な西施も生まれた頃の話が出てきます。ただやはり読んでいて1年に1作読むのではなく、すべて(全9巻でハードカバーでは終了)出た時点でまとめて読む方がいいと感じています。2019/01/25
キジネコ
50
この物語も随分と長い話になりました。読み物として、史実逸話もふんだんに盛り込まれていて楽しいのですが初期の宮城谷作品の圧倒的な重量感に魅入られた読者には些か食い足りない様な気が致します。楚の大敗の後、呉の孫武が逝き、伍子胥の復讐心という強烈なベクトルの消えた戦勝国に、楚と同じ轍を踏む憂き目が病痾の如く待ち受けていました。主役は、越国范蠡に移り中国史に輝く四大美女の一人、西施も再登場。父王を越との戦傷で失った呉の新王が再び復讐心を滾らせて越に挑む次巻。果たして…。王や専権者の器量の弊は民の苦衷だと云う御話。2019/10/22
Tomoichi
19
呉王闔廬が越との戦いのでの怪我が元で薨去す。越王勾践の元、范蠡が頭角を現す。2020/01/25
ひ ろ
19
★★★★☆ 恩義ある 越 を守ろうとする范蠡がこの巻の主人公。それに対し、敵対する 呉 をここまで支え育ててきた伍子胥。うわわ、どうしよ。どちらも応援したくなるではないか。決戦が迫る中、激しい諜報戦が繰り広げられる。 早く八巻が読みたい!2018/10/08
しんすけ
16
主役が伍子胥から范蠡に代わる。伍子胥は呉の、范蠡は越の重臣である。 互いに敵同士であるが、根本には孫武が存在している。ただし范蠡が孫武の偉大さを知るのはかなり遅れてであった。孫武が敵国呉の将軍だったことから敬遠していたようだ。 范蠡の上司に当たる胥扞が『孫子』を読んでいることを不思議に思った范蠡だったが、薦められて読むとその抽象性に驚かされる。そして戦とは勝つことを確実にして行うものであることを実感する。2020/11/22