出版社内容情報
大ベストセラーが早くも文庫化! 「普通」という呪いに苦しんだ、ひとりの女性の静かな叫びが、多くの心を貫いた。同じアパートに暮らす先輩と交際を始めた“私”。だが初めて交わろうとした夜、衝撃が走る。彼の性器が全く入らないのだ。その後も「入らない」一方で、二人は精神的な結びつきを強め、夫婦に。いつか入るという切なる願いの行方は――。「普通」という呪いに苦しんだ女性の、いじらしいほど正直な愛と性の物語。
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【冒頭1ページ試し読み】
いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあることですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひっそりと生きていくことを選んだ。
こだま[コダマ]
著・文・その他
内容説明
同じアパートに暮らす先輩と交際を始めた“私”。だが初めて交わろうとした夜、衝撃が走る。彼の性器が全く入らないのだ。その後も「入らない」一方で、二人は精神的な結びつきを強め、夫婦に。いつか入るという切なる願いの行方は―。「普通」という呪いに苦しみ続けた女性の、いじらしいほど正直な愛と性の物語。
著者等紹介
こだま[コダマ]
主婦。2017年1月、実話を元にした私小説『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)でデビュー。たちまちベストセラーとなり、「Yahoo!検索大賞2017」小説部門賞受賞。二作目のエッセイ『ここは、おしまいの地』(太田出版)で第34回講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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