講談社現代新書<br> 海賊の日本史

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講談社現代新書
海賊の日本史

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784065119617
  • NDC分類 210.3
  • Cコード C1221

出版社内容情報

藤原純友、松浦党、倭寇、村上水軍。様々な地域で活躍した様々な「海賊」たちを通して日本の歴史を読み直すユニークな日本史の試み。海に囲まれた日本には、古来「海賊」と呼ばれる存在がありました。海を縄張りとし、その海域を通過する船から「みかじめ料」を徴収するのがその基本的な在り方でした。古代の海賊で有名なのは平将門と共に古代国家を震撼させた藤原純友です。しかし最近の研究では、じつは純友は当初、瀬戸内の海賊を追討する立場にあったことが明らかになりました。それが複雑な権力闘争の結果として、自からが海賊となったのです。中世はまさに海賊の黄金時代で、様々な海域で様々な海賊が活発な活動を繰り広げました。南北朝時代には南朝方の熊野海賊の大船団が、北朝方の薩摩氏の攻撃に紀伊半島から鹿児島まで出撃したことが知られています。また西九州では松浦党と呼ばれる「海の武士団」が形成され、その中からは倭寇として朝鮮、中国にまで進出するような者まであったと考えられています。一方瀬戸内海はまさに海賊の本場とも言えるような地域で、有名な村上水軍を始めとする諸集団が活発に活動していました。
戦国時代になると彼らの存在は「水軍」として戦国大名に注目され、スカウトされる者も出て来ます。毛利氏に付き、本願寺戦争の木津川の戦いで織田信長の水軍を大敗させた村上水軍の働きは有名ですが、それ以外にも武田氏、北条氏、今川氏、徳川氏といった東国の、もともと水軍力を持たなかった諸大名が、伊勢、志摩、紀伊などから海賊たちを呼び寄せて自らの麾下に置きました。しかし彼らの活動も、秀吉の「海賊停止令」によって終止符を打たれます。勝手に「みかじめ料」を徴収するような行為は権力から、決して見逃すべきではないものとみなされるようになったのです。中央集権的な近世には、本来が中世的存在である海賊は、もはや存在の余地はありませんでした。ある者は取りつぶされ、ある者は大大名の家臣として生き残り、またある者は小身の大名として海を捨て、海とは全く関係のない、山間の領地でその後を過ごすことになりました。
それでも、海に囲まれた列島で、海賊が残した遺伝子は決して消えることはありませんでした。捕鯨や、遠洋漁業を始めとする漁業は言うまでもなく、造船業、回船業といった近代日本を支えた産業の中にも海賊の後裔たちの貢献の姿を見ることができます。海賊という日本史上のユニークな存在を通して日本の歴史を通覧することによって、日本の意外な一面が明らかにされて行きます。


はじめに 回族とは何か
序章 海賊との遭遇
第1章 藤原純友の実像
第2章 松浦党と倭寇
第3章 熊野海賊と南朝の海上ネットワーク
第4章 戦国大名と海賊 西国と東国
終章 海賊の時代

山内 譲[ヤマウチ ユズル]
著・文・その他

内容説明

藤原純友、松浦党、倭寇、村上水軍…「海の国」日本に跳梁したまつろわぬ者たちの群像。「海賊」から日本の歴史を読み直すユニークな試み!!!

目次

序章 海賊との遭遇
第1章 藤原純友の実像
第2章 松浦党と倭寇
第3章 熊野海賊と南朝の海上ネットワーク
第4章 戦国大名と海賊―西国と東国
終章 海賊の時代

著者等紹介

山内譲[ヤマウチユズル]
1948年生まれ。京都大学文学部史学科卒業。愛媛県内の高校教員、松山大学教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

35
日本の海賊の歴史を史料を使って丁寧に考察した内容。天慶の乱で有名な藤原純友の乱から江戸時代に至るまで。いわゆる瀬取りや通行料徴収、人さらいなど国の法が及ばない範囲で脱法行為をおこなう「海賊」は西日本がほぼ中心のようである。九鬼水軍や北条水軍はもはや海賊行為はおこなっていないが、海賊出身者もいたために海賊と呼ばれていたようだ。また倭寇と村上水軍とのかかわりは薄いようだ。前期倭寇、後期倭寇はまた様相が異なるし、日本人、中国人という概念がなかった昔は辺境人が自由に徒党を組んでいたようだ。2018/11/13

活字の旅遊人

31
和田竜『村上海賊の娘』が流行ってからの出版だが、この視点も非常に重要だ。そもそも日本史における「海賊」とは? という問いかけから、水軍・水運に関する事柄を地域と時代とで概観していく。本願寺の件もそうだけど、どうしても陸戦を中心に見てしまうんだよね。北条・武田の水軍というのもそりゃああったはずで、そのあたりを知れただけでも良かった。瀬戸内の水軍はある程度有名になったと思うが、こうやってまとめていただくと理解が深まる。以前より北前船に興味があるのだけど、当然それとも繋がる。水運史についてはこの先も勉強したい。2023/12/13

みこ

20
坂本龍馬がなぜ人気があるのかといえば、司馬氏の小説のお蔭と言ってしまうと元も子もないが、その生き様が大海原を駆け巡るが如くであったからだろう。それは今最も売れている漫画についても言える。国土を海に囲まれた日本人にとって、いや地表の7割を海が占めるこの星の住民にとって海を自在に駆け巡ることには壮大なロマンを感じる。倭寇をのぞく本書の登場人物たちが海「賊」と呼ばれながらも同時にヒーローイズムを感じさせるのはそういうことかもしれない。2018/08/27

Koichiro Minematsu

19
まさに日本の海賊の研究書。海賊は「いわゆる海賊」というイメージがつきすぎている感があるが、本著で述べられている4つのタイプの海賊は、歴史的展開とともに家族や仲間を想い、戦い、生きてきた「生」がある。瀬戸内海に行ってみたくなった。あっ、もう一度「村上海賊の娘」も読みたくなった。2018/10/08

fseigojp

17
村上海賊の娘がなかなか進まないので背景知識を2018/08/03

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