出版社内容情報
ともに世界的な小説家と批評家が1990年代半ばに行った貴重な対話集。柄谷行人氏のまえがきと、二人の年譜を加えた永久保存版。1994年の大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞前後に行われた全対話三篇を集成。小説と批評の両面から日本文学界を牽引してきた二人が、文学、思想、言語、日本と日本人について、縦横無尽に語り合う。柄谷氏の書き下ろし序文と年譜を付す。
大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他
柄谷 行人[カラタニ コウジン]
著・文・その他
内容説明
世界的な小説家と批評家が一九九〇年代半ばに語り合った貴重な記録。
目次
序文 大江健三郎と私(柄谷行人)
対談(中野重治のエチカ―一九九四年六月七日収録;戦後の文学の認識と方法―一九九六年五月二一日収録;世界と日本と日本人―一九九五年三月七日収録)
年譜 大江健三郎・柄谷行人
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
25
柄谷行人の言葉に反して、二十年前に語られた言葉なのでそれほどアクチュアリティがあるかどうかと考えると疑問を感じざるを得ない。だが、知性と知性のぶつかり合う様はスリリング。今まで古臭いと敬遠して来た中野重治を読みたくさせられたし、お二方の仕事にも(特に柄谷にも)興味が湧いて来た。一番面白かったのは曖昧さを巡るやり取り。曖昧さを英語でどう訳すか……それはそのまま日本語の「曖昧」という言葉の揺らぎを考察することで、日本語そのものを揺さぶることにも繋がるのだろう。願わくば今の時点での対話を少しでも収めて欲しかった2018/09/15
テイネハイランド
15
図書館本。大江健三郎氏と柄谷行人氏による3つの対談「中野重治のエチカ」「戦後の文学の認識と方法」「世界と日本と日本人」が収録されていますが、どの対談も難解な箇所が多く断片的にしか理解できませんでした。その中で面白かったのは、柄谷氏による、哲学者カントに関する引用の部分で、彼の著作を媒介にしてドイツの哲学者の著作に触れるのも一つの手かなとちょっと思ってしまうような紹介の仕方でした。柄谷氏の著作については未読なので、今後機会があれば読んでみようと思います。2018/09/04
Z
14
世界に誇る日本の小説家と批評家との対談。レベルが高い。中野重治をめぐって、戦後文学を巡って、世界と日本についての対談。大江健三郎が柄谷行人にひけを取らずに対話できていたのが驚いた。かなりの勉強家。こんな風に物事や小説を捉えればいいのかという見本だった。2018/11/15
Happy Like a Honeybee
7
資本は自己増殖する貨幣であり、剰余価値を確保できない限り消滅する。 この二人がたった6歳しか離れてないのは意外だった。 世界言語の可能性と、カズオイシグロの功績。 川端康成を経て、あいまいな日本の私がある訳で。 巻末からも大江氏の輝かしい功績が一目瞭然。2019/09/19
mstr_kk
7
大江健三郎すげえええー!というのが一番の感想。あんなに感覚的な部分で天才的な小説家なのに、こんなにとてつもない勉強量とは。いや、超勉強家なのはもちろん知っていましたが、柄谷行人と並べたとき、大江さんのほうがずっと豊かに見えました。僕だけでしょうか?絶望すら感じました。2018/08/23