出版社内容情報
「おそらく最後の小説を、私は円熟した老作家としてではなく、フクシマと原発事故のカタストロフィーに追い詰められる思いで書き続けた。しかし70歳で書いた若い人たちに希望を語る詩を新しく引用してしめくくったとも、死んだ友人たちに伝えたい」(著者・『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』)。国家の巨大暴力に対抗するため、個の単位の暴力装置を作る老人を描く『さようなら、私の本よ!』
【収録作品】
さようなら、私の本よ!
晩年様式集(イン・レイト・スタイル)
──カタストロフ 3.11
内容説明
国家の巨大暴力に対抗するテロリズムを描く『さようなら、私の本よ!』と、国家の巨大暴力がもたらす原発事故を描く『晩年様式集』を収録。晩年の円熟を拒否して社会・時代に抵抗する。ノーベル文学賞作家が企てたテロル、予見したカタストロフ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
24
小説家としての晩年において大江健三郎は、自己批判の物語を綴ろうと試みる。しかしそれは、自己への理解を深める行為であり、自己を超えていこうとする行為に他ならない。『さようなら、私の本よ!』は、ひとことで言えばテロリズムについての物語だ。とはいえ、同じくテロリズムを描いた「セヴンティーン」から、なんと遠いところまで来てしまったのだろうとの思いがある。それは大江健三郎にとって、あるいは時代にとって、だ。『晩年様式集』は3.11後の世界を描く小説だが、(つづく)2025/12/03
OHNO Hiroshi
3
「さようなら、私の本よ!」ミシマ事件、三島由紀夫、ドストエフスキー「悪霊」「白痴」そして「セヴンティーン」発表の後、三島由紀夫からもらった手紙。 「晩年様式集」In Late Style 結果、読めずに、流して・・・終了。2019/07/22




