出版社内容情報
大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
25
「空の怪物アグイー」から始まり、頭部に障害を持った子の誕生が起こす戸惑いと絶望、そして決意を描く『個人的な体験』を経て、そこに核時代という避けられぬ背景を動員した喜劇としての『ピンチランナー調書』、そしてイーヨーと名付けられた子との生活を綴った連作集『新しい人よ眼ざめよ』は、どれもウィリアム・ブレイクの詩(絵)が重要な役割を担っている。ブレイクに貫かれた、いや、ブレイクの詩自体が支えているかのようなこれら小説は、私小説として誤読されないための舞台装置のように思えるが、事実はそうではないのだろう。(つづく)2025/02/05
Nobuko Hashimoto
24
「新しい人よ眼ざめよ」のみ読了。別の連作短編「静かな生活」に、先日観たタルコフスキーの映画「ストーカー」について書かれている文章があると知って読んでみた。意外にもとらえ方や文体が合うと感じ、私小説系をもう少し読みたくなって、たまたま夫氏が読んでいたこちらの本に手を出す。「新しい人よ~」は、脳に障害がある長男が20歳になる節目に、彼との「共生」の日々を振り返るもの。大江氏が大学入学直後に知って衝撃を受けたウィリアム・ブレイクの詩と、幼少期からの忘れえない出来事とを重ね合わせながら、思索していく。(つづく)2021/09/27
ブルーツ・リー
6
大江健三郎の、初期の「私小説」とも呼ばれる作品集。 それまでの私小説が、自分の事を滑稽に、笑いものにするようなものが多かった中で、知性的な物語による、フィクションもだいぶ混じる、新しい私小説の形を作り上げた時期の作品が並ぶ。 小説を書く時に、露悪的に書く事は割合簡単なのだが、露悪的どこか、作者自身が「悪」そのものだと捉えられかねない描写は、本当に勇気の要る事だし、小説に対して、よっぽどの覚悟が無いとできない事。 私小説で、嬰児殺しを考えていたと勘違いされてもおかしくない内容を書くのは、よっぽどの事である。2021/08/16
riko
2
空の怪物アグイー★★★★★2023/11/05
Taku Kawaguchi
1
やはり読むとへとへてとになる。 自分の子供の話ばかりなんだなあ。2020/10/09