感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
58
2009年なのか。表紙もよく観察すれば中心の灯りはパソコンなのだな。表題作は山奥に棲む謎の女性・鶯と、開発の尖兵として送り込まれた営業所職員たちの闘争を描く・・・というか、環境破壊へのアンチテーゼ。怖くはない、むしろ良い話。悪い人は出てこないしね(悪いのは人の集合体たる企業という事かな)。怖いのは稗田礼二郎先生がチラチラ姿を見せる『それは時には少女の姿となりて』と『描き損じのある妖怪絵巻』か。前者は書簡のみ稗田先生が登場。蒙古の城壁の向こうから来る“何か”。解説にある通り妖怪ハンターシリーズには (続)2023/09/01
アズル
22
妖怪ハンターの稗田、渚君がそれぞれ登場。表題作はなんとも社会派な感じでした。2016/10/29
阿部義彦
16
2009年講談社。諸星先生の単行本未収録を集めた。全5編、一話目は妖怪ハンターのスピンオフ、高校生になった大島くんと渚ちゃんの出番。海からきた人魚に魅入られて死にかけます。3話は稗田さんが主人公。土蔵から出てきた絵巻に書かれた絵の秘密。第4話は前後編にわたり、山の神との駆け引きが山場、木をかってソーラーパネルをとりつけたり、神宮外苑を再開発したりして恥じな現在こそ有効。ラストは、何時とも何処とも分からない世界での話。砂漠の地下で冬眠して雨季になったら起きて活動して子を成し再び地下の土に帰る不思議な人たち2024/10/19
のがわ
13
短編集「それは時には少女となりて」大島くんと渚が登場する〈粟木町〉もの。「六福神」や「帰還」(『妖怪ハンター水の巻』収録)と異なり大島くんが異界に引かれる。「人魚の記憶」結末が怖い。「描き損じのある妖怪絵巻」は稗田が登場、ムック企画作品とのことだが、他エピソードにない新鮮な雰囲気。表題作「闇の鶯」は山奥の土地を守る山姥とハッカー少年がパソコンを駆使して戦うという奇想天外な物語だが妙にユーモラスな側面も。「涸れ川」は初期作品の雰囲気をもつSFテイストを持った幻想譚。2015/07/10
ぐうぐう
13
はあ~、おもしろい! 単行本未収録集とのことだが、なぜに今まで未収録だったのかわからないほどのおもしろさ。諸星漫画のおもしろさは、手塚をも嫉妬させたと言われる独特のタッチにもあるが、民俗学的アプローチからの物語でありながら、きちんと現代を描いてる点だ。昔話としてではなく、現在の物語としての怖さが、ここにはある。2009/04/26