出版社内容情報
海猫沢 めろん[ウミネコザワ メロン]
著・文・その他
市川 春子[イチカワ ハルコ]
著・文・その他
内容説明
レザーフェイスと呼ばれる男は、駅前で切り絵をする女の子に出会った。プレゼントは渡せないし、メールは送れない。奥手すぎる男の淡く儚い恋の行方は―(「初恋」)。世の中にはうまく馴染めないけれど、君に出会うことだけは出来た。異色の経歴を持つ作家だからこそ描けた、不器用で切ない5編の恋模様。
著者等紹介
海猫沢めろん[ウミネコザワメロン]
1975年、大阪府大阪市生まれ。兵庫県姫路市育ち。2004年『左巻キ式ラストリゾート』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa
80
誰にも読まれないことばを落とした。タイムラインに呑み込まれる想い。孤独な詩の死。透明なことばは存在したといえるのか。愛してるの文字は嘘の匂いがした。確かめるように唇からこぼすアイシテル。他人みたいな声が鼓膜を揺らした。コロシテの音は響くのに。偽りの愛を重ねてもマイナスだと君は嘆く。《i×i=-1》。叶えるつもりの偽りは願いだから、正数になるまで塗り重ねろと僕は唄う。《i×i×i×i=1》。好きなものを好きだと。そうにしかなれないと。誰にも伝わらなくても。唇に残った愛についての感じを失くしてしまうその前に。2020/01/18
さっとる◎
43
世界の裏側にはみ出してしまった私のもとに不定期にやってくるイカレたのをあいつらは愛とかよんでいて、そこにある音楽性の違いで私こいつら全然わかんないって思うのにあちらでは全部わかってる大丈夫とか言うもんだから、なんかもう全然わかんない。はみ出してから愛とか言えよ。そっち側から低気圧垂れ流すな。私が欲しかったのは愛なのにあいつらが置いていくのは違う何かで、でもそれがどう違うのか説明とか無理で泣きながら埋めるしかできない。わかってた、どれも本物だったこと。ただどの本物も私わからなくて。ごめんね。でもありがとう。2020/01/13
ピロ麻呂
29
これはちょっとハズレかなぁ~とほぼ流し読み…でも最後の「新世界」はおもしろかった(^^)2017/10/28
ポテチ
25
エグめの話ぽいけど、作者の聡明さとか純粋さによるものなのか清潔感もある。ゾンビぽい人がゾンビになったり、副作用的に内面を抑制するクリームを塗って表向きをどうにか保ったり。どこにいきつくのかわからない感じが面白かった!愛なんてわからない者が愛ってこんな感じだろってつきつけてるような小説。2021/03/07
ちぇけら
24
雪のふる午後、初恋のように黄色い便箋に、会ったことのないきみへのことばを綴る。〈0.01じゃすぐいっちゃうから0.03をつけるぼくは、アイシテルでごまかしているけれど、あいつよりもきみから3倍とおいところにいると気づいているのです〉。見慣れない鏡の天井をみているうちに明けた夜は、ボクの固有名詞を脱がしてしまった。ベッドの脇に丸まった燃え滓たちを弔いながら、きみのために歌ったのだが、ボクのことばに耳を傾けるひとはもうどこにもいない。大丈夫、それは絶望ではないのだよ。やっと安心して、愛について歌えるのだから。2020/02/15
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