出版社内容情報
映画化された、話題の青春ミステリ。人生を賭けた少年たちの計画が、変わりゆく街と許されざる罪に鉄槌を下す。乱歩賞受章第1作!「レミングは自殺しない。集団で移動して、海や川を渡るんだ。必死で……新天地に向かうために」。計画の先に辿り着く。必ず、全員で――。誰の心にもある、中学時代の甘く、苦く、切ない思い出。江戸川乱歩賞受賞作家が、読む者の心の奥を揺さぶる。映画化もされた青春群像劇。ミステリアスな事件の結末とは?
夏の始まり
第一章 二〇一〇年七月
第二章 レミングスの夏
第三章 悪魔の真贋
第四章 死地と新天地
エピローグ 木陰
竹吉 優輔[タケヨシ ユウスケ]
著・文・その他
内容説明
集団で移動して、海や川を渡り、新天地を目指すレミング。その名を称した中学2年生の男女5人組が、市長の娘を誘拐する。彼らはなぜ、危険な犯罪に手を染めたのか。解き明かされる秘密、スピーディーな展開、納得の結末。江戸川乱歩賞作家が、多感な若者たちの葛藤と友情を描く、感涙必至のミステリー。
著者等紹介
竹吉優輔[タケヨシユウスケ]
1980年茨城県生まれ。二松学舎大学文学部卒業後、東洋大学大学院で現代日本文学を研究。牛久市立図書館で司書として働くかたわら(2016年名誉館長)、小説執筆を続ける。2013年、『襲名犯』で第59回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
103
中二の夏、僕らは計画を決行した。幼なじみの5人がある思いを秘めて誘拐事件を起こす。彼らに何があったのか。大それたことをしでかす恐怖心、葛藤、仲間の友情が緻密に描かれている。リーダー格のナギは、得意の将棋のように何手も先を読んで計画を練る。でもその本当の凄さがわかるのは、事件の終盤。冷徹な計画と実行力に時折少年らしい激情が綻びを作るあたりもいい。全貌がなかなか明かされないためにややまどろっこしさも感じるけれど、とても丁寧に作り込まれた作品だと思った。2017/10/17
アマニョッキ
40
お借りした本。誘拐事件を起こした男女5人の中学生の物語。構成が上手いというかずるいというか、過去の事件の内容が最後まで明かされないので、気になって一気に読みました。うーん、、、南木くん、小2でそれは大人びすぎてやしないかい?漫画ならそういう設定も許せてしまうんですけどね。でも、夏を感じるにはぴったりな作品だと思います。公園でスイカ割りしたい。焼きそば食べたい。2017/08/20
夢の中で枕濡らし
17
思春期爆裂青春ちょこっとサスペンスの様相なのだが、中学生の主要人物たちが「僕たちの『新天地』に行くんだ!」というニュアンスのことを隙あらば連呼していくというような創作物内だけで感じるような青臭いお発言で、それは「海賊王になるんだ!」というような潔さがないゆえのジメジメ感の中で発生する「新天地」なので感じるのだろうと思うとともに、新天地に本気で行こうと思っている人間が「新天地」という言葉は使わないだろうという予測もありながら僕はこの感想内で「新天地」に着地したいと思いながら書いているけど見えない。新天地。2024/11/13
夕やけLION
11
レミングスと名乗る誘拐犯、中学生ながらある過去に囚われた5人の物語。 誰かのために、無我夢中になれる姿と仲間を思いやる姿は、懐かしさと羨ましさを覚える。 この青春は、夏の復讐劇である。2017/06/07
クサナギ 「読んでる本」=「バイブル本」
10
市長の娘を誘拐した幼なじみの中学生男女5人組。その真の目的とは…。なかなか焦れったくもあり引き込まれる物語でした。2019/01/10