出版社内容情報
「飛ぶ矢は動かない」「アキレスは亀に追いつけない」など常識を覆す理論を提出したゼノン。その意図と思想史的影響力の深さを探る。紀元前5世紀、南イタリアにあったギリシアの植民市エレアの哲学者ゼノン。彼が語ったという4つのパラドクスは、ギリシアの哲学者のみならず2500年後の現代に至るまで、ものを考える人間の頭を悩まし続けてきた。一方で「詭弁家」とレッテルを貼られ、他方では「無限」と「連続」をめぐる先駆的思索を行ったと激賞されもする。
パルメニデスの弟子ゼノンが帰謬法の典型的なやり方で意図したのは、論敵ピュタゴラス学派に見られる「世界は多からなる」という理論に対して、パルメニデスの「<有>はひとしく一>であり、不可分であり、部分を持たない」という世界観を補強することにあった。
本書では、「パズル」でも「手品」でも「詭弁」でもないゼノンの逆理の本質を探り出し、それが西洋哲学史、科学思想史に及ぼした深い影響について考察する。
第1逆理「二分割」。動くものは、終点に達する前にその半分の地点に達しなければならないので、動かないとする。
第2逆理「アキレスと亀」。
第3逆理「飛矢不動論」。
第4逆理「競技場」。半分が2倍に等しい。
プロロゴス
第1章 4つの逆理
第2章 飛ぶ矢は飛ばず
第3章 アキレスは走った、が走らなかった
第4章 多の本性
第5章 パスカルの眼
第6章 エレア学派と現代思想
エピロゴス
山川 偉也[ヤマカワ ヒデヤ]
著・文・その他
内容説明
「飛矢は動かない」「アキレスは亀に追いつけない」。反常識的理論で「詭弁家」と誹られる一方、「無限」と「連続」をめぐる思考の先駆者とも激賞されるゼノン。その意図はなんだったのか。論敵の「多の理論」を否定し「“有”はひとしく“一”である」ことを掲げた前五世紀の哲学者による逆理の本当の意味と、それが思想史に及ぼした深い影響を読み解く。
目次
プロロゴス―原風景
第1章 4つの逆理
第2章 飛ぶ矢は飛ばず
第3章 アキレスは走った、が走らなかった
第4章 多の本性
第5章 パスカルの眼
第6章 エレア学派と現代思想
エピロゴス―アキレスとその影
著者等紹介
山川偉也[ヤマカワヒデヤ]
1938年生まれ。同志社大学文学部哲学専攻卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。桃山学院大学名誉教授。アテネ大学名誉哲学博士。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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