講談社学術文庫<br> 心の科学史―西洋心理学の背景と実験心理学の誕生

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講談社学術文庫
心の科学史―西洋心理学の背景と実験心理学の誕生

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  • サイズ 文庫判/ページ数 423p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062923835
  • NDC分類 140.2
  • Cコード C0111

出版社内容情報

人間は心をどのように捉えてきたのか。19世紀科学的心理学の誕生に至るまでの思想史的流れを辿り、20世紀心理学の展開を概観する人間は「心」をどのようなものと考え、その作用・構造をどう捉えようとしてきたのか。近代心理学の起源は、1879年ヴィルヘルム・ヴントによる心理学実験室の開設(ライプチヒ大学)の時点とされる。それは「心を対象とする科学」の宣言であった。その後19世紀末から20世紀を通して、心理学はその方法論や認識論に関するさまざまな「革命」を生み出しながら領域を拡大していくことになる。
では、19世紀後半の「始まり」を用意した思想的背景は何だったのか。また古代以来の西洋哲学史のなかで「心の問題」はどのように扱われてきたのか。
本書では、古代ギリシャのプシュケー・プネウマ論から中世霊魂論への変遷を概観し、近代の進化論、生理学研究の進展によって「心理学」が自然科学の一分野として自覚するようになるまでの思想的過程を眺望する。

序 説 近代心理学概観
第1章 ヨーロッパ心理学の起源
  (1) ミレトス学派からプラトンまで
  (2) アリストテレスの心理学
第2章プシュケーとプネウマ
  (1) ヒッポクラテスからカレノスまで
  (2) 古代末期の霊魂観:神秘思想の系譜
  (3) 中世の霊物学と心理学
第3章 実験心理学の成立
  (1) ヘルムホルツと若き日のヴント
  (2) 生理学から心理学へ:実験心理学の誕生
  (3) ドイツ実験心理学会の形成
  (4) 心理学と認識論:初期実験心理学の周辺
第4章 民族心理学の行方
  (1) 実験心理学と民族心理学
  (2) 民族心理学の歴史的背景
  (3) ヴントにおける<行動>概念
  (4) 民族心理学の位置づけをめぐる試論
  (5) ヴントにおける<心>と<精神>
補論――残された問題


高橋 澪子[タカハシ ミヲコ]
著・文・その他

内容説明

人間は「心」をどのようなものと考え、その作用・構造をどう捉えようとしてきたのか。古代ギリシャのプシュケー・プネウマ論~中世の霊魂論~デカルトの物心二元論を経た後、ヴント心理学実験室の開設=近代心理学の誕生を促した哲学的背景は何だったのか。「心を対象とする科学」の宣言への歴史と、その後の方法論・認識論の革命的変遷を眺望する。

目次

序説―近代心理学史概観
第1部 前近代ヨーロッパにおけるプシュケー論とプネウマ論の変遷(ヨーロッパ心理学の起源;プシュケーとプネウマ)
第2部 一九世紀ドイツの科学思想とヴント心理学の論理(実験心理学の成立;民族心理学の行方)
補説―残された問題

著者等紹介

高橋澪子[タカハシミオコ]
1958年、東京大学教養学部教養学科卒業。1961年、同大学院人文科学研究科心理学専門課程(修士)修了。1969年、同博士課程単位取得退学。1980年より1998年まで専修大学文学部教授を務める。1996年、博士(心理学)の学位を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

沈黙の魔女。

8
文体や論旨は平明である。哲学史を押さえたのがやはり的確な判断か。19世紀ドイツの文学にはたとえば18世紀博物学の影響で隆盛した古生物学や自然誌の影響が見られる、といった話に納得。また人間が思い付くアイデアの数々におどろきました。2023/01/30

沈黙の魔女。

3
認識の対象となるもののうち自然学的定義に当てはまらないものは、自然学者以外にゆだねるべき問題である。2023/11/10

ロラン

2
心理学史の関連書籍は少なく、大規模書店でも入門的な通史の概説書が2、3冊見つかればよい方だ。そんなお寒い状況の中、このような読みごたえのある著作が手軽に購入できるのだから、講談社学術文庫はありがたい。高橋澪子先生の著作は初めて読んだが、心理学と哲学の両方に造詣が深いとみた。とはいえ、専門は心理学なので、哲学の専門的な議論に深入りせず、あくまで心理学史としての記述に徹しており、そのバランスが絶妙である。読むのに哲学の知識はさほど必要ないが、心理学史の通史をある程度知らなければ、読み通すのは厳しいだろう。2017/12/21

YASU

0
内なる自律的な心=自己意識の内観的分析という心理学の常識は、近代的心身二元論に由来する。それ以前には人体内の科学的物理的諸力の他に、これらとは異なる統一的な生命力が働いているという考え方が支配的だったという。心的経験も外的(感覚的)経験もともに“公共”的で、「内観」だけを特別視しなくてもよいとすれば、心理科学の枠は大きく拡大する。行動科学の未来もここに位置づく。つまりは科学の対象としての心とは、そもそも何なのかという哲学問題に行きつくのであって、心は外部にこそある、という命題につながっていく。2024/12/06

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