講談社学術文庫<br> 民権闘争七十年―咢堂回想録

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講談社学術文庫
民権闘争七十年―咢堂回想録

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  • サイズ 文庫判/ページ数 381p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062923774
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C0123

出版社内容情報

連続当選25回、代議士生活63年! 生涯を議会政治確立に捧げた「憲政の神様」が語る政党の姿。日本のデモクラシーの本質を問う。国会議事堂に隣接する国会前庭内に建つ憲政記念館。この建物は1960年に竣工したときは「尾崎記念館」と呼ばれました(改称は1970年)。第1回総選挙から連続25回当選、代議士生活63年に及び「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄の業績を讃えてのネーミングです。尾崎は若くして自由民権運動に身を投じ、生涯を護憲と議会政治、政党政治の確立に捧げましたが、戦前の政党政治においては常に傍流、非主流の側にいたと言えるでしょう。実際の歴史も、大正デモクラシーは束の間、軍国主義、ファシズムの波に日本は呑みこまれていきます。どうしてそんなことになってしまったのか……。いったいなにがいけなかったのか……。本書の序文には尾崎の苦い思いが綴られています。

「日本に欧米なみな立憲政治を確立することを念願として私は七十余年努力したが、微力のためかついに及ばず、そのために愚かな戦争を始めて無条件降服という未曾有の屈辱を蒙ることになり、漸く独立した今日も、党争国を亡ぼすのではないかと思われるような状態にある。私は一生を無駄に過してしまったと思うことがしばしばある。」

亡国後の回想は豊富な経験談と人物評に彩られ、教訓と反省(場合によっては勘違い)に満ちています。戦後70年をすぎ、あらためて立憲主義、議会政治、政党政治の本質が問われているいま、本書を繙く意義は重いと確信します。

民権運動台頭期
国会開設準備時代
十四年政変のころ
二大政党の誕生
外交問題と取り組む
保安条例前後
はじめての外遊
議会開設のころ
日清戦争とその後
「共和演説」の真相
政友会創立のころ
東京市長時代
桂内閣弾劾の前後
大隈内閣と私
寺内から原へ
軍備制限運動
軍国に傾く日本
決死の闘い
太平洋戦争の下に
日本降伏の前後
占領下の錯覚


尾崎 行雄[オザキ ユキオ]
著・文・その他

内容説明

代議士生活六十三年、連続当選二十五回。「憲政の神様」の語る政党の姿は面白くも哀しい。若くして自由民権運動に身を投じ、生涯を議会政治の確立に捧げた尾崎。だが、大正デモクラシーも束の間、軍国主義が祖国を呑みこんでゆく。いったいいつ、どこで間違えたのか…。回想を彩る鋭い人物評、苦い教訓と反省は今なお新しい。

目次

民権運動台頭期
国会開設準備時代
十四年政変のころ
二大政党の誕生
外交問題と取り組む
保安条例前後
はじめての外遊
議会開設のころ
日清戦争とその後
「共和演説」の真相〔ほか〕

著者等紹介

尾崎行雄[オザキユキオ]
明治~昭和期の政党政治家(1858~1954)。相模国又野村(現・神奈川県相模原市緑区又野)に生まれる。慶応義塾に学び、ジャーナリズムに身を投ずる。自由民権運動に参加、1890年の第1回衆議院議員総選挙で三重県選挙区より出馬し当選(以後、連続25回当選)。憲政擁護を唱え桂太郎首相を弾劾した演説は大正政変のきっかけとなった。代議士生活63年に及び「憲政の神様」「議会政治の父」と謳われる。東京市長も務めた。咢堂は号(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

筑紫の國造

11
「憲政の神様」尾崎行雄の回顧録。特徴は、なんと言ってもその議員歴に尽きる。最初期の議会から戦後までの政治家歴は、他の追随を許さない。師事した福沢諭吉から初代総理の伊藤博文、大隈重信ら明治の元勲たち、原敬や加藤高明らの政党政治家、そして昭和の近衛文麿や東條英機など、人間として間近に接した有名政治家は数知れない。実に面白い。ただし、尾崎は自分の汚点になることは語っていない。それらは解説で詳細に指摘されているので、是非こちらも読んでバランスを取ってほしい。尾崎は「神様」ではなく、泥臭い政党政治家の一人だった。2018/02/01

BATTARIA

3
尾崎行雄は衆議院選挙に連続25回当選し、国会議事堂前庭に銅像が立っているが、62年8ヶ月の在職の割には、際立った実績があるわけではない。第二次大隈重信内閣の司法大臣として、内務大臣大浦兼武の贈賄を、政界引退と引き換えに不起訴にしたり、漢字を廃止しろと言ったり、憲政の神様と呼ぶには到底値しない。加藤高明が自分と対立しているからって、清浦圭吾内閣を倒した第二次護憲運動を不純呼ばわりしたり、ワシントン軍縮条約を取りまとめてきちんと実行した加藤友三郎の内閣を、政党に基盤がないという理由で変態内閣呼ばわりは論外だ。2022/04/20

ダージリン

2
最近国会図書館へ調べものに行くことが多く、憲政記念館の脇を通るので、尾崎行雄のことは気になっていたのだが、こんなに凄い人とは知らなかった。特に後年の言うべきことは怖れずにはっきり言う姿勢には勇気づけられる。今の政治家にもこうした覚悟をもってほしいものだ。それにしても第1回総選挙から戦後まで60年以上代議士を務めただけあり、兎に角語られる時代の長さが凄い。明治からの政治史を代議士の視点から見ていくというのも新鮮だった。憲政記念館は是非一度見に行こうと思う。2016/10/06

1
尾崎は第一議会から戦後まで当選し続けたので回想録がそのまま戦前の政党史として勉強になる。日清の積極的開戦論や袁世凱排斥運動をしていたことはあまり知られていない。政友会入党時は伊藤から巨額の資金を貰った。1921年の外遊を区切りに政治面外交面で態度は一変する。以後は後藤を担いだ時のような裏での行動力が失われ、軍部全盛時代には沈黙がちになり、議会で演説して仕事をした気になっている。この人が一匹狼の批判者にならずに、二大政党のどちらかでしっかりと地盤を固めて方向を修正すれば良かったのに。解説が非常に優れている。2022/04/06

gotoubun

1
日本政治史の教科書にもなれそうな良書。2016/09/02

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