講談社学術文庫<br> 「国史」の誕生―ミカドの国の歴史学

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講談社学術文庫
「国史」の誕生―ミカドの国の歴史学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062922470
  • NDC分類 210.01
  • Cコード C0121

出版社内容情報

武家政権を否定した明治国家は、なぜ再び武士を称揚したか。江戸の知的伝統と西洋文明が結合と摩擦を繰り返した近代歴史学の成立事情日本の近代歴史学の成立事情とその背景のドラマを、おもな歴史学上の事件と人物を中心に描き出す。
明治時代とは、江戸期の知的遺産と、急速に流入した西欧の学問が出会った時代だった。歴史学に関していえば、江戸期以来の漢学、特に朱子学の流れと、国学・水戸学の流れ、そこに洋学が結合し、あるいは摩擦を起こしながら、「新しい日本の自画像」を描くべく、「歴史学」が成立し、さらに「国体史観」を形成していったのである。
本書では、鎖国下の平賀源内や林羅山、荻生徂徠らの歴史認識から、明治期の福沢諭吉、森鴎外らの歴史観、実証史学の移植に寄与したドイツの歴史家・リースの働きなどをみながら、「国史」誕生の経過をたどる。
さらに、久米邦武筆禍事件、喜田貞吉と南北朝正閏論争など、「天皇制」との軋轢のなかで近代歴史学が挫折し、あるいは鍛えられていく過程をみていく。
日本の歴史学の成り立ちをあらためて整理し、現代も問われ続けている、「国家」と「歴史研究」との緊張関係という問題を考察する手掛かりとなる好著。

〔原本:『ミカドの国の歴史学』新人物往来社 1994年刊〕

序 出会った歴史──「近代」と「中世」
第一章 「ガリヴァー」の遺産──近代史学のルーツ
1 江戸の中の西洋
2 江戸期の考証学 
3 近代史学の界隈へ
第二章 「ミカドの国」の周辺──近代明治の学問事情
1 開化期の史学事情 
2 文明史からの解放
第三章 「カイザーの国」の歴史学──西欧史学の移植
1「欧羅巴」史学の履歴書
2 リースと「史学会」
3 リースが見た「日本」
第四章 「ミカドの国」の歴史学──久米事件とその周辺
1 久米邦武筆禍事件
2「ミカドの国」の輪郭
3 久米事件の源流
第五章 「ミカド」から「天皇」へ──喜田事件とその周辺
1 南北朝正閏論争
2 南北朝問題の源流
3「ミカドの国」の終焉
あとがき


関 幸彦[セキ ユキヒコ]
著・文・その他

内容説明

近代日本の歴史学は、江戸期の知的伝統と洋学が結合し、摩擦を起こしながら、「新しい日本の自画像」を描くべく成立した。山片蟠桃や平賀源内の合理的思考。福沢諭吉、西周の学問観。実証史学を移植したドイツの歴史家リースと「国史」誕生への道程。そして久米邦武筆禍事件、南北朝正閏論争など、国家との軋轢の中で歴史学は挫折し、鍛えられていく。

目次

第1章 「ガリヴァー」の遺産―近代史学のルーツ(江戸のなかの西洋;江戸期の考証学;近代史学の周辺)
第2章 「ミカドの国」の周辺―近代明治の学問事情(開化期の史学事情;文明史からの解放)
第3章 「カイザーの国」の歴史学―西欧史学の移植(「欧羅巴」史学の履歴書;リースと「史学会」;リースが見た「日本」)
第4章 「ミカドの国」の歴史学―久米事件とその周辺(久米邦武筆禍事件;「ミカドの国」の輪郭;久米事件の源流)
第5章 「ミカド」から「天皇」へ―喜田事件とその周辺(南北朝正閏論争;南北朝問題の源流;「ミカドの国」の終焉)

著者等紹介

関幸彦[セキユキヒコ]
1952年生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻後期博士課程修了。現在、日本大学文理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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かんがく

12
中世史の専門家が、明治期日本の史学史について研究。近代国家を作る上での歴史の重要性がよくわかる。国学や水戸学の影響を受けたイデオロギー的な歴史と、ドイツなどから伝わった科学的な歴史の矛盾が、久米邦武事件や南北朝正閏論争から描かれている。2019/08/07

なつきネコ@たくさんの本に囲まれてご満悦な化け猫

7
世界の中の日本、日本史の中の日本観などの変節を俯瞰した一冊。元が94年の本なために難しい。しかし、日本史の思想で大事なのは、南北朝なんだな。私が習った居合いも楠木正成を大事にしていたし。外国と接した日本、水戸学などを源泉とした日本史や、学問としての日本史の対立があり、それが明治の史学界で争い、最終的に大東亜共栄圏に変わっていったという事なんだろな。世界史に圧倒されながらも、もがき熱心に戦い国粋的な日本史を作っていったんだな。しかし、そんなジタバタが現在の日本史を作った。ある意味ロマンを感じた一冊でした。2016/11/11

さとうしん

5
「カイザーの国」の歴史学の流儀を「ミカドの国」で貫き通そうとした男たちの苦闘と挫折の軌跡。本書で扱う久米事件や南北朝正閏論争はイデオロギー的な問題であるとともに、アカデミックな議論が一般にどう受け入れられるか(あるいは受け入れられないのか)という問題でもあるように思う。大河ドラマの『平清盛』で噴出した「王家」問題に見られるように、お雇い外国人リースによって形成された日本の歴史学界が今後とも同様の問題に直面することになるのだろう。2014/07/22

うえ

4
この勘違いが後に与えたるもの。「岩倉(具視)の一行が、世界の首都ともいうべきロンドンで実感した「文明」とは、「時は金なり」だったのかもしれない。(「倫敦府総説」)…足早に行き交う英国の人々の勤勉さ、それをかれらは「文明」のなせる業とみたにちがいない。…米及び仏人は四時間で仕事を終え、残りは自分の楽しみの時間とするのに比し、英人は「五時ニテ終リ、一時間は別業ヲ勉ム」と。…「東洋ノ英国」たらんとした日本は、当然のことながら英人的所為を可とし、理想としたようだ。少なくとも『回覧実記』での文脈では、そう解し得る」2025/05/26

アメヲトコ

4
明治国家における歴史学の成立過程を、「文明」主義と「文化」主義の相克として描いたもの。南北朝正閏論争における学問と教育の矛盾については考えさせられます。また前提の一つである水戸藩の『大日本史』の思想が近世前期と後期とでは本質的に変貌しているという指摘にはなるほどと思いました。2014/08/26

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