講談社学術文庫<br> 科学の解釈学

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講談社学術文庫
科学の解釈学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 467p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062922104
  • NDC分類 401
  • Cコード C0110

出版社内容情報

科学は万能か--。19世紀以来の科学主義イデオロギーを解体し、科学哲学の本来の哲学的課題、科学的理性批判を唱える刺激的論考。

科学は万能か--。19世紀以来の科学主義イデオロギーを解体し、科学哲学の本来の哲学的課題、科学的理性批判を唱える刺激的論考。

【著者紹介】
1949年、宮城県生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。東北大学大学院文学研究科教授、同大学院文学研究科長・文学部長、同大学副学長、同大学附属図書館長、東北大学理事を務める。東北大学名誉教授、日本学術会議会員、日本哲学会元会長。専攻は現代哲学、科学哲学。著書に『言語行為の現象学』『無根拠からの出発』『物語の哲学』『パラダイムとは何か』『歴史を哲学する』、訳書にマッハ『時間と空間』ハンソン『知覚と発見(上・下)』クリプキ『名指しと必然性』ローティ『哲学と自然の鏡』などがある。

内容説明

科学への無批判の信奉と全否定とをともに排し、ハンソンとクーンに代表される「新科学哲学」、クワインの「知識の全体論」、ウィトゲンシュタインの「アスペクト知覚論」を三本の柱に、「自然」を解読する解釈学的営為としての科学の再生を訴える。科学哲学に本来課せられた役割の「科学的理性批判」の回復を謳う、斯界の第一人者による刺戟的な論考。

目次

「科学の論理学」から「科学の解釈学」へ
第1部 科学哲学の構造転換(「科学の解釈学」の目指すもの;生活世界とパラダイム;「テクスト」としての自然)
第2部 「知識の全体論」をめぐって(知のネットワークとパラダイム;「ロジカル・ネガティヴィズム」の帰趨;「全体主義」の誘惑に抗して;プラグマティズムの帰結―「ノイラートの舟」の行方)
第3部 ウィトゲンシュタインの問題圏(ウィトゲンシュタインの衝撃;「理論負荷性」とアスペクト知覚;「アスペクト盲」と隠喩的想像力)

著者等紹介

野家啓一[ノエケイイチ]
1949年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。東北大学理事・副学長、同大学院文学研究科教授のほか、日本学術会議会員、日本哲学会会長を務める。東北大学名誉教授、教養教育院総長特命教授。専攻は現代哲学、科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bevel

6
野家の目的は、固有の歴史と規範をもった村々の一つとして科学を表象すること、そして村同士の間に穏健なルールを認めさせることである。自然科学とは理論と理論に従属する実験との関係である。理論が非連続的に変化するとき、その原因は実験のうちに認められない(決定実験の不可能性)。今度はこの事実が別の理論と科学そのものの間に哲学を構成する。科学の条件である言語に対して、共同体/指示/命題化の可能性/生活世界を割りふることで、哲学は科学の可能性を説明する。クワインやクーンの議論を項目ごとにまとめる手際のよさが印象に残る。2014/12/19

静かな生活

3
いささか(本書的いえば)換喩的で恐縮ですが、いち大統領が科学に反旗を翻し「マスクをしない正義」を振りかざす時代に偶然これを読んだことに我ながら運命を感じる。古典なのにも関わらず未来からやってきたかのような論理的明晰力があると思います。2021/12/31

ゲニウスロキ皇子

3
とても面白かった。近代科学を頂点とした知のヒエラルキーを解体して、科学をあくまでも一定の規範を共有した歴史的・地理的に限定された解釈共同体の営みとして理解しようとする論述は実にスリリングである。これをキッカケにクーンのパラダイム論をきちんと読んでみようという気になった。しかし、この手の学者の文章は切れ味が鋭くて痛快。本当に読んでいて楽しい。2014/10/14

百十一

1
クーンのパラダイムや、ラッセル・ハンソンの観察の理論負荷性について、歴史的な背景を含めつつ紹介してくれていた。ハンソンの本は少し読んでいたが、何を言っているのか分からず挫折していたが、この本のおかげでハンソンが何を言いたかったのかすっきりした気がする。中盤の、ネオプラグマティズムについての論考も、クワインなどの考えについて詳しく議論されていて、新書だけではピンとこなかったところが多少分かった気がする。2023/02/09

maqiso

1
科学哲学は、自然科学の手法を他分野に適用する論理実証主義から始まったが、パラダイム論による相対化を経て、認識論的な手法で自然科学を取れるようになった。知のネットワークは経験と矛盾しないように絶えず組み替えられていくが、中心に位置する模範的な知識までもが変わることをパラダイム転換と呼ぶというモデル化がわかりやすい。最後のウィトゲンシュタインの話が他から浮いている。2020/09/21

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