出版社内容情報
古典や漢籍、歴史に通じた露伴の面目躍如たる評伝。後世の先入観を退け、戦国武将の英雄像とその魂を現代に甦らせた、後期の傑作。古典や漢籍、歴史に通じた露伴の面目躍如たる評伝。後世の先入観を退け、戦国武将の英雄像とその魂を現代に甦らせた、後期の傑作。
蒲生氏郷
武田信玄
今川義元
幸田 露伴[コウダ ロハン]
著・文・その他
内容説明
脱線、蘊蓄、戯言あり。知の巨人が洞察力と想像力を駆使して興の向くまま、史料を読みとき大いに語る、傑作評伝。
目次
蒲生氏郷
武田信玄
今川義元
著者等紹介
幸田露伴[コウダロハン]
1867・8・22~1947・7・30。小説家。江戸下谷生まれ。別号に蝸牛庵ほかがある。東京府第一中学校(現・都立日比谷高校)時代の同級生に尾崎紅葉、上田万年らがいるが、中途退学し、東京英学校(現・青山学院大学)へ入学するも中途退学。のちに逓信省の電信修技学校を卒業し、電信技手として北海道へ赴任するが、文学に目覚めて帰京、文筆を始める。1889年、「露団々」が山田美妙に評価され、同年発表の「風流仏」、91~92年の「五重塔」等で小説家としての地位を不動のものとし、尾崎紅葉とともに「紅露時代」を築く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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厩戸皇子そっくりおじさん・寺
57
『今川義元』のみ初読。『蒲生氏郷』は青空文庫にあり『武田信玄』もKindleで安価で読めるのだが、やはり紙の本で楽しみたい内容。文豪露伴の名文で綴る史伝だが、鴎外の史伝と違い闊達な内容。寝る前に読んでいてしばしば眠ってしまった。これはつまらないのではない。読んでいて気持ちが良いのだ。戦国時代が好きな人なら間違いなく楽しい本である。一から教えてくれる本ではないので、ある程度知っている人向けではある。たまにしか改行せずに頁にビッチリと氏郷と伊達政宗の対決が詰まっている。ギャグもある。無人島の1冊かも知れない。2016/10/07
ヨーイチ
25
小説ではない、だから分からない事とか不確かな事は断りが入っている。白状すると幸田露伴を読むのは初めて。先入観と違って砕けた言い回しと上品とは言い難い比喩のオンパレードで相当面白い。数行毎に知らない言い回しや比喩が出てくるが難解な訳では無い。秀吉の天下統一後、伊達政宗への牽制として会津に下ったのが蒲生氏郷で、これだけて秀吉、政宗、氏郷の関係が分かる。会津が東北地方平定の要であったのがよく分かる。宮城県仙台が伊達六十万石の本拠地だと思い勝ちだが、江戸時代は会津と水戸が押さえだったのだろう。2016/10/15
ご〜ちゃん
1
『五重塔』を読んだときとは、幸田露伴に対するイメージが変わった。露伴の語り口が聞こえてくるような文章で、聞き手(読み手)がワクワクするような感じがする。2020/02/22
ゆーいちろー
1
本書とは全く関係ないが、以前、自分よりもわずかに年上か?と思われる人に「昼行灯」という言葉が通じなくて戸惑った経験がある。忠臣蔵を観ていればわかるだろうと思ったのだが、考えてみれば民放から時代劇が消えて久しい。またテレビという文化も国民的と言われるものでは無くなりつつある。長らく講談をはじめ、寄席演芸の代替として機能し続けたテレビの権能も尽きたかとも思ったりする。もっとも仮に「昼行灯」なんて言葉覚えたところで使う機会は無かろうが…というわけでかつてあったという立川文庫の代わりに本書を読んでみたりするのだ。2017/01/05
ダージリン
1
幸田露伴の文章は良いなあと改めて感じた。確かな知性に裏打ちされた洒脱な語り口が良い。武田信玄は如何にして家督を継いだかというところにフォーカスされているが、ここだけを切り取るという視点が露伴らしいところなのだろうか。3作品の中では蒲生氏郷が一番ドラマ性があり、個人的には最も面白かった。2016/12/13