出版社内容情報
三木 清[ミキ キヨシ]
著・文・その他
内容説明
「ひとはただ善いものを読むことによって善いものと悪いものとを見分ける眼を養うことができる」西田幾多郎、リッケルト、ハイデガーらに師事、近代日本思想界に多大な足跡を残しながら、敗戦後も続いたファシズムによる拘禁下で非業の死を遂げた哲学者・三木清。自らの体験に即しながら、読書の方法、哲学の学び方、青春とは、人生とは何かを真摯に綴る、不朽の名著。
目次
我が青春
読書遍歴
哲学はどう学んでゆくか
哲学はやさしくできないか
如何に読書すべきか
書物の倫理
軽蔑された飜訳
辞書の客観性
ハイデッゲル教授の想い出
西田先生のことども
消息一通―一九二四年一月一日マールブルク
著者等紹介
三木清[ミキキヨシ]
1897・1・5~1945・9・26。哲学者。兵庫県生まれ。第一高等学校を卒業後、京都帝国大学へ進み、西田幾多郎に師事する。22年ドイツへ留学し、ハイデルベルク大学でリッケルトに、マールブルク大学でハイデガーに学ぶ。帰国後、法政大学教授に就任し、独自のマルクス主義解釈を展開するが、30年、日本共産党への資金援助の嫌疑で検挙、法政大学を辞す。出所後は哲学的著作を始め、広く評論活動を展開したり、岩波新書の立ち上げに尽力するなど多方面に活躍。45年6月、治安維持法違反の嫌疑をかけられていた高倉テルを匿ったとして拘留、同年9月26日に獄中にて死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
29
著者の読書遍歴を通じて、旧制高校の生徒が多くの本を深く読んでいたことに驚嘆するとともに、哲学の奥深さに触れることができました。著者の読書法や学びの姿勢にも納得できる説明が多くありました。2021/12/10
企業研究職(微生物)
14
研究室の先輩にもらった本。このような戦前の大学を舞台にした文章を読むと、今のように娯楽がなく学問に没頭していた当時の学生を羨ましく感じる。 読みながら以下の点に深く頷いた。 読書とは技術である。鍛錬して自分なりの個別の読書の型を身につけてはじめて読書家となる。多読は必要だが専門を持たずに様々な分野に触れるのでは一般教養は身につかない。幹になる専門を持ち、そこから派生して他分野にも関心を広げて初めて意味のある教養が身につく。 きっともう一度読みたくなると思う。2020/10/18
ネムル
14
戦前の教養主義に乗っ取ったように始まる読書も、教養主義の香りを感じさせず、己の興味のまま読みまくる/世界を渡り歩く読書遍歴が圧巻である。「古来読書の法について書いた人は殆どすべて濫読を戒めている。多くの本を濫りに読むことをしないで、一冊の本を繰り返して読むようにしなければならぬと教えている。それは、疑いもなく真理である。けれどもそれは、ちょうど老人が自分の過去のあやまちを振返りながら後に来る者が再び同じあやまちをしないようにと青年に対して与える教訓に似ている」2018/04/09
のり
13
哲学者・三木清さんの哲学、読書、書物についてのエッセイ11編からなる1冊。はじめに思っていたよりは全然読みやすく、特に「如何に読書すべきか」はかみ砕いてかみ砕いて書かれている(ように感じる)ので、スラスラ読めます。しかしながら、サラッと読み流すにはもったいないほど、特に読書人には有益な中身です。これからも長く本に付き合っていくなかで、この本が大いに僕に示唆を与えてくれるだろうと思います。速読術やダイジェスト本もいいけど、一生使える読書術をこの薄い本で学ぶことで、より豊かな本の世界を開けると思います。2015/01/31
ゆうきなかもと
12
本書の「哲学はどう学んでゆくか」より《論理主義を唱えて心理主義を攻撃した新カント派の哲学が一時わが国に流行してから、哲学を学ぶ者が心理学を勉強するという、それ以前の日本ではむしろ常識として行われたことが次第になくなっていった。》こんなこと書かれると心理学関係の本も読みたくなる(´・_・`)2015/12/24