講談社文芸文庫
第三の新人名作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 363p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062901314
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

出版社内容情報

戦後新世代の魅力的作家群

近代文学でもっとも人気も実力もある「第三の新人」。
その魅力的短篇選。

第三の新人、と称された戦後新世代の作家達は、のちに、文壇の中心的存在となっていく。十人十作品を精選。阿川弘之「年年歳歳」、遠藤周作「アデンまで」、小沼丹「白孔雀のいるホテル」、近藤啓太郎「海人舟」、小島信夫「アメリカン・スクール」、島尾敏雄「湾内の入江で」、庄野潤三「プールサイド小景」、三浦朱門「冥府山水図」、安岡章太郎「ガラスの靴」、吉行淳之介「驟雨」収録。

富岡幸一郎
読者は本書の各作品を通読すれば納得されるだろうが、ここには今日でも(いや、むしろ現在の地平においてこそ)、まさに「新しい」と驚嘆させずにはおかない文学の瑞々しい魅力が溢れているからだ。一個一個の短編は、当然のことながらその主題も内容、個性も全く異にする。しかし、作品の言葉の奥底に降りていくと、ある共通する普遍的ともいえる感性の層に突き当る。――<「解説」より>

講談社文芸文庫[コウダンシャブンゲイブンコ]
編集

安岡 章太郎[ヤスオカ ショウタロウ]
著・文・その他

阿川 弘之[アガワ ヒロユキ]
著・文・その他

庄野 潤三[ショウノ ジュンゾウ]
著・文・その他

遠藤 周作[エンドウ シュウサク]
著・文・その他

吉行 淳之介[ヨシユキ ジュンノスケ]
著・文・その他

小沼 丹[オヌマ タン]
著・文・その他

近藤 啓太郎[コンドウ ケイタロウ]
著・文・その他

小島 信夫[コジマ ナブオ]
著・文・その他

島尾 敏雄[シマオ トシオ]
著・文・その他

三浦 朱門[ミウラ シュモン]
著・文・その他

内容説明

近代文学でもっとも人気も実力もある「第三の新人」。その魅力的短篇選。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

13
第三の新人とは、終戦後に出現した作家グループのこと。戦争を嫌というほど知っている世代だけあって、その文学的リアリズムには圧倒される。確かなのは、読み継がれねばいけない文学である、ということともう我々の世代では書けぬ世界を知っていた作家である、ということだろう。まさにこれこそ戦争、及び戦後文学である。2011/09/09

とろこ

11
安岡章太郎さんの訃報を聞いて。当たり前ですが、昨日この本を手に取ったのは全くの偶然。 まっさきに安岡さんの「ガラスの靴」を読了しました。説明が少なく、人物の心理描写が丁寧になされていて「文学っていいなあ」と思える作品。 こういう身の詰まった作品が減ってしまっている気がして悲しい。 おしゃれなイタリアンやカフェごはんもいいけど、やっぱり梅干し入りのおにぎりに勝るものはないと思うのです。 残りの作品もゆっくり味わいます。2013/01/30

かみしの

9
基本的にベストアルバムってのは、なんかずるい気がして好きではないけれど、たまに“ベストアルバム”としての完成度が尋常じゃないものが登場したりする。本作がそれである。第三の新人の豊饒さが、一つ一つの引き締まった短編から匂い立つ。コメント欄を使って全ての短編をレビューしたい衝動に駆られる。例えば遠藤周作におけるキリスト教だとか、島尾敏雄における戦争だとか、吉行淳之介における娼婦だとか、個々の作家を構成するファクターがそれぞれ散見され、集全体としては、どうしようもない日本人的な意識が見え隠れする。2013/07/30

きつね

8
第三の新人といえば村上春樹が『若い読者のための小説案内』で取り上げているが、実際のところ地味だと思われがちな作家たちであるけれども、日常を視る目が異境を視るごとくであったり、プロットの高まりと性欲の高まりがずれて作動していたりなどという辺りがおもしろい所ではないだろうか。あるいは、Novelの伝統がない日本人が小説を作り上げるために外国語の文物を鏤めたり(鴎外)、古典に題材を求めたり(芥川)と悪戦苦闘してきたけれども、「アデンまで」は「舞姫」が描かなかった東洋人が踊ることの屈辱を、「冥府山水図」は「秋山図2013/11/12

sputnik|jiu

5
村上春樹の『やがて哀しき外国語』(だったかな?)の中で、筆者がアメリカの大学で第三の新人の講義をもっていたとあった。外国文学で育ってきた村上さんが日本文学を持ち出すなんて珍しいな、と思ったのが第三の新人との出会い。 それ以来、吉行、遠藤、小島など、ぽつぽつと拾い読みはしていたけれど、この本のように全体を俯瞰したような短編集ってなかなかなかったと思う。作家ごとに、テーマも切り口も異なっていて、それでも根底の部分にはなにか共通するものが流れていることが、この短編集を通じてぼんやりと分かる。2011/11/07

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