講談社文芸文庫<br> 震える舌

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講談社文芸文庫
震える舌

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  • サイズ 文庫判/ページ数 213p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062901086
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

その予感は娘の発作で始まった。
極限の恐怖に誘われる衝撃の作品。

平和な家庭でのいつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。<破傷風>に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦――。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。

石黒達昌
距離が伸びる時には父親として病気に向き合い、距離が縮む時、1人の人間として感染症の恐怖に怯える中で語られる心の葛藤は、医学小説のそれではなく、もちろん恐怖小説のものでもなく、強いて言うなら、極めて純粋な戦記文学を読んでいる印象です。確かに、今まで読んだ全ての小説の中で、病棟という「戦場」の真実がここまで正確に描かれた作品を知りません。――<「解説」より>

※本書は、新潮文庫『震える舌』(1980年)を底本として使用いたしました。

三木 卓[ミキ タク]
著・文・その他

内容説明

平和な家庭でのいつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。“破傷風”に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦―。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。

著者等紹介

三木卓[ミキタク]
1935・5・13~。小説家。東京生まれ。幼少より何度も病魔に襲われる。1959年、早稲田大学卒業。57年ころより、詩を書き始める。67年『東京午前三時』でH氏賞受賞。73年「ミッドワイフの家」が芥川賞候補に。同年「鶸」で第69回芥川賞受賞。84年「ぽたぽた」で野間児童文芸賞受賞。89年『小噺集』で芸術選奨文部大臣賞受賞。97年『路地』で谷崎潤一郎賞受賞。99年紫綬褒章受章。2000年『裸足と貝殻』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pino

186
小学生の頃、運動場で古釘を踏み抜き、すぐに病院で破傷風の注射をうった。と話している子がいた。土の中には怖いバイ菌がいるのだと。「破傷風?」どんなバイ菌か知らないが裸足で歩くのは危なさそうだと思った。その後、映画化された「震える舌」を観て、罹患した少女が、歯を食いしばり、唸り声をあげ、体を反らす姿に衝撃を受けた。原作は、少女を看病する両親の心境にも焦点が当てられていて新鮮だ。看病した経験のある人なら、焦燥感、徒労感などリアルに感じると思う。我が身も破傷風の毒に冒されるという恐怖に苛まれる親の心理描写が見事。2013/03/13

hushi亜子

54
Twitterでどなたかが話題にしていたこの作品。Amazonprimeで観れるという。先に原作を読んでみようと。1970年に起きた、この作者の娘さんに起きた破傷風、あえて事件。それを1974年に出版。今でこそ破傷風は予防注射すれば防げるものだし、あまり馴染みも無い病気となっているが。逆にこの時代の人にとっては破傷風とはどういう病気で症状でという認識があったからこその行動だと思う。鬱映画、恐怖映画、トラウマ映画と言われているよう。さて覚悟して映画を観ますか。2019/12/02

harass

51
図書館本。題名と薄さで借りて読む。八〇年に映画化されていて、映画は見てないままだがTVCMで強く記憶に残っていた。ホラー映画やんけと。破傷風に苦しむ一人娘と夫婦の話だ。著者自身の体験を元にしているそうだ。神経症的な文体で日常を破壊する病魔との日々が描かれていて息苦しい。ムージルの短編を読んでいるような印象。この文体だと映像にするのはやはりホラー風にするのが無難なのかとも。2016/09/02

GaGa

50
昔映画で見たはずだが、思い出せず、小説を手に取ってみた。破傷風という病気のなんと恐ろしきことか。現代ではめったにかかる病ではないので、正直驚いた。両親の心理描写は上手。いい本を読んだ。2013/02/07

空猫

23
[トラウマになる]作品と言われているが、そんなこともなかった。なにせ昭和50年頃の作品で古臭さの方が目立ったので。映画はネットで何となく観たが画面が暗いので観づらかった。目に見えない恐怖、病気によって変貌し、衰弱するわが子を見守るしかないもどかしさは痛いほど伝わってきた。親の無知な思い込み、投げやりな医者の誤診は確かに恐い…。2017/04/13

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