講談社文芸文庫
西鶴の感情

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 257p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900454
  • NDC分類 913.52
  • Cコード C0195

内容説明

商都大坂、銀が銀を生む世の実相と、色と欲に翻弄される人達の生態をリアルに描いた井原西鶴。伝記もなく、殆ど知られざるその実像を、作品の行間から、また同時代の遊女評判記などから鮮やかな手付きで攫みだし、西鶴が生きた「時代」と「場所」を臨場感たっぷりに現前させる。中勘助、釋迢空など、評伝に新境地を拓いた作者の批評精神が最高度に発揮され、伊藤整文学賞、大佛次郎賞両賞を受賞した傑作。

著者等紹介

富岡多恵子[トミオカタエコ]
1935・7・28~。小説家、詩人。大阪市生まれ。大阪女子大英文科在学中に小野十三郎に師事、1958年『返禮』でH氏賞、61年『物語の明くる日』で室生犀星詩人賞。70年代から小説に転じ、74年『植物祭』で田村俊子賞、『冥途の家族』で女流文学賞、77年「立切れ」で川談康成文学賞、97年『ひべるにあ島紀行』で野間文芸賞を受賞。近年は評論に新境地を拓き、2005、06年『西鶴の感情』で伊藤整文学賞、大佛次郎賞の両賞を受賞する等、高い評価を得ている。08年より日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

A.T

29
【富岡さん追悼読書7】35で妻を亡くし自由人となった、俳諧師井原西鶴が41から51で死ぬまでの10年間に描いた「浮世草子」…当時はそう呼ばれた物語の数々は、富岡さんによるとむしろ明治の坪内逍遥が「小説」と名づけた、近代の自我、そして世間や廓との関係、社会を絡めた人間模様。たった200ページ余りにまとめられた深い深い読みにずっしりと感動します。元禄の実在の女方役者上村辰彌と光源氏をミックスしたような西鶴オリジナルキャラの世之介の成長物語「好色一代男」。女郎に溺れ破滅した1人の男の生涯(続く)2023/05/11

糸くず

7
溝口健二『西鶴一代女』に感じていた違和感が解きほぐされた。『好色一代女』の主人公は題名のとおり〈「生殖」にかかわらぬ一代女〉であるから、「親子」「家族」といった関係性に拘束されないひとりの女性として、つまり「個人」として生きたのである。しかし、溝口が描いたのは、世間のしがらみに囚われて「個人」として生きることのできない女性の悲劇であって、「感傷の贅肉」によって作り変えられている。こう考えてみると、西鶴は早すぎた「近代」の作家だったのかもしれない。2020/05/01

isbm

0
★★★2017/05/21

笠井康平

0
解説や要約のさじ加減に優れた本です。西鶴の略歴を知ったあと、学術畑につまれた先行研究へと向かうまえに読むのがうってつけです。論文の束を消化したあとだと、ちょっと物足りなく感じてしまうかもしれません。2013/07/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/200269
  • ご注意事項