出版社内容情報
菅原 潤[スガワラ ジュン]
著・文・その他
内容説明
「世界最高」を目ざした最高の知性は、なぜ「戦争協力者」へと墜ちたのか?西田幾多郎、田辺元、三木清、「京大四天王」…。
目次
プロローグ なぜ今、京都学派なのか
第1章 それは東大から始まった―フェノロサから綱島梁川まで
第2章 京都学派の成立―西田幾多郎と田辺元
第3章 京都学派の展開―京大四天王の活躍と三木清
第4章 戦後の京都学派と新京都学派―三宅剛一と上山春平
エピローグ 自文化礼賛を超えて―京都学派のポテンシャル
著者等紹介
菅原潤[スガワラジュン]
1963年、宮城県仙台市生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。長崎大学教授などを経て、日本大学工学部教授。専門は日本哲学史、環境哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
66
太平洋戦争に思想協力、戦後の公職追放、のイメージ。でも 興味深い。 ”哲学者の文章は難解だから、できるだけそうじゃないものを引用”といいつつ十分に難解でした。 梅棹”文明の生態史観”の前段階的思想が既にある。てっきりあれはオリジナルなのかと思っていた2022/03/06
南北
51
京大哲学科で西田幾多郎から始まった「京都学派」についての本。京都学派は、デカルトに始まる西洋個人主義をどう克服するかについて思索を深めていったが、その特徴は批判者を受け入れてきたことであり、田辺元や高橋里美などの批判を受けて西田哲学も変遷をしていったり、マルクス主義に傾倒する三木清も京都学派になるなど広がりを見せている。大東亜戦争に協力したことや公職追放などにより、戦後は顧みられることの少なくなった京都学派だが、西洋個人主義に日本人がどう対応するかを考えるとき、彼らの主張に耳を傾ける必要があると思う。2024/09/06
ころこ
20
本書は、京都学派が戦争に加担したということのみならず、それを昨今の右傾化に掛けて論じているようにみえます。しかし、そのような政治的な読みを回避するとしたら、西田、田辺といった固有名に焦点を当てるということになりますが、それでは今までと何ら変わらない関心の持ちようになってしまいます。京都学派の見直しが行われると、否定派からはこの問題が提起されるのは明らかですので、あえての戦争と京都学派という論点の設定は肯定的に理解できます。著者のシェリング研究という立場から、ドイツ観念論とプラグマティズムを土壌にした京都学2018/02/28
かんがく
16
西田幾多郎から始まる近代日本哲学の代表、京都学派。それぞれの哲学者について代表作の引用とともに解説。戦中の時局への協力、自国中心的なナルシズム。梅棹と鶴見の本は読みたくなった。2019/09/30
ぷほは
13
西田哲学から始まる京大の自分で勉強するには面倒くさい流れが割と丁寧に追いかけられている。ヘーゲルの弁証法に代表されるドイツ哲学の影響ばかりに目が行くが、むしろ隠れた主役はプラグマティズムであり、そのどれらとも距離があった九鬼周造の特異性が『日本回帰と文化人』の読後だとより際立った。自文化の礼賛から自身を引き離す取り組みは、おそらく鶴見の大衆文化研究や竹内好の議論の方に近いはずなので、やはりそれを京都学派に結び付ける後半はやや違和感。むしろ文明論という極大化していく想像力の拡大に若干の言い知れぬ不安を覚え。2021/07/27
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