内容説明
争いのない世を切望し、罪を憎む意識は変わらなくても、犯罪はいつの時代でも起こりうる。今日の犯罪と江戸時代の犯罪とでは、どちらのほうが罪深いのかはわからないが、刑罰に関しては江戸時代のほうが恐ろしい。徹底的な階級社会、男尊女卑の規定により、同じ罪であっても、制裁に大きな差がつけられ、理不尽なリンチによって多くの罪人が惨殺されていた。華やかな江戸文化の裏側に潜む、御上によるおどろおどろしい残虐犯科帳のすべて。
目次
江戸幕府の刑法と裁判
大江戸の治安と牢屋
名奉行
刑罰
殺人罪
窃盗
放火
密通
飲む
賭博
売春
女と犯罪
禁教徒迫害
密貿易と海の犯罪
著者等紹介
大久保治男[オオクボハルオ]
1934年、東京都に生まれる。東京教育大学(現・筑波大学)を経て、中央大学法学部卒業、同大学院修了後、東京大学法学部研究員となる。その後、上智・中央・国士舘・川村学園女子・創価・帝京・山梨各大学の非常勤講師を勤める。1966年から山梨県立女子短期大学助教授。1975年から駒澤大学法学部・同大学院教授、1989年から駒澤大学理事・法学部長・大学院委員長。1998年から苫小牧駒澤大学初代学長・理事。2003年から駒澤大学名誉教授、武蔵野学院大学副学長・同大学院教授・研究科長。滋賀県・彦根城跡内の井伊直弼学問所「埋木舎」(国指定特別史跡)当主(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ギルヲ
3
クリスマスに何読んでんだと思いながら読了(笑)タイトルはSM誌みたいですが、死刑に六段階あるとか、江戸時代は軍事政権だったので深夜は外出禁止だったとかなかなか興味深い一冊でした。驚いたのは三振法が採用されていることで、現代のアメリカでは重罪前科2犯の3回目は終身刑ですが、江戸では万引き3回でもう死罪。あと、浮気した妻を殺しても夫は無罪だが逆の場合は妻は死罪。えげつない男尊女卑といい拷問のキ○ガイっぷりといい、体制や上下の秩序を守るのが主眼の法律の怖さが迫ってきます。読み応えありました。2020/12/26
UMA
3
拷問大全、という割には思ったほど拷問の紹介数がなかった。もっと凄いことになってるのかと思ったら、実際に起こった犯罪例の方がメインな感じ。これはこれで面白いので全然アリだけど。禁教徒弾圧のマジキチっぷりが……。2012/08/09
福嶋洋一郎
1
昔の刑罰は見せしめが多分にある感じですね。男尊女卑も凄まじい。2018/06/07
かなせ
1
今では考えられないような刑罰拷問ばっかりだけど、現在でもあまりにも酷い犯罪者には適応しちゃえよ!!と思った。2010/03/08
雨季
0
PHPなどの同種の文庫本に比べると、論文寄りのやや硬い文体ですが、その分内容が濃く、資料としての実用性は高めです。純粋にこの手の分野に興味がある人も楽しめる内容かと。2011/11/07