出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
13時13分13秒、街から人が消えた。無人の東京に残されたのは境遇も年齢も異なる13人の男女。なぜ彼らが選ばれたのか。大雨と地震に襲われる瓦礫の山と化した街。そして生き抜こうとする人達の共通項が見えてくる。世界が変れば善悪も変る。殺人すらも善となる。極限状態で見えてくる人間の真理とは。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
754
本書の着想の元になった、あるいは少なくともこうした発想で先行するものとして楳図かずおの『漂流教室』がある。ただ、楳図のそれがきわめて感覚的でファンタジックなものであったのに対して、東野のこれは発端こそ大胆なSFそのものだが、物語の内実はその中で可能な限り理性的、論理的に展開してゆく。結末は最後まで予想できなかったが、これもまた読者に納得のいく形で収めたと思う。おそらく男性の読者の多くは冬樹に、そして女性の読者たちは明日香あるいは菜々美に感情移入しながら読んだのではないか。斬新な追体験を堪能できる小説。2022/02/11
Tetchy
670
3月13日13時13分13秒に起きたP-13現象なる超常現象で起きた事態を読んだ時、米ドラマの『フラッシュフォワード』を想起したが、その後起きる様々な災害の描写で東日本大震災を想起した。しかし本書は2009年4月の作品で東日本大震災は2年後の3.11なのだ。被災地の状況をも予見した作品として読むと驚愕に値する。刑事、会社の重役とその部下、老夫婦、やくざ、女子高生、看護婦、主婦とその子供、ニートの若者と登場人物は実にヴァラエティ豊か。誰に自分を重ねるか。そんな風に自分と照らし合わせて読むのもまた一興だろう。2016/07/08
zero1
512
人は何故、生きるのか?ある日突然、異変が訪れる。そして人が消える。政府は日時や現象を予測していた。警察官の兄弟を中心に残った人たちは地震や台風が続く中、生きるための戦いを続ける。そして生命に関わる厳しい選択が待っていた。私は「ランゴリアーズ」を連想した。リーダーの誠哉は「ポセイドン・アドベンチャー」の牧師を思い出す。イブの話は「復活の日」だし緊迫感ある終盤は「リピート」のよう。しかし流石は東野、生きるためのルールなど500ページを超える長編でも読者を飽きさせない。粗い描写で減点。再読なのに興味深く読めた。2020/02/02
Yunemo
469
荒唐無稽な始まり、このままSF物語かなとの想いに、ある意味裏切られ、想像以上の臨場感。人間の尊厳に係る部分をきっちりと表現、ここは身につまされます。作中における「ミオ」の存在は貴重。相対する年代の「山西氏」の存在もまた。結末よりも、結末に至るプロセスに重きをおいて、そこにまたあまりに大きすぎる児童・高齢者福祉政策、尊厳死、法的解釈、等々の問題提起。いったい読者に何を望んでいるんでしょう。現実的な結末はそれはそれで。それにしても、「奇跡」の話があいまいのまま。この点だけがなんだか心に引っ掛かって読了。2014/07/27
takaC
366
実は自分もP-13から生きて帰ってきた者です。と言っても嘘ではないかもしれないな。2015/08/11