講談社文庫
部屋〈下〉アウトサイド

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  • サイズ 文庫判/ページ数 332p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062777407
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

監禁されていた「部屋」からの脱出に成功したジャックとママ。しかし「解放」されたはずの「外」は、「天国」では決してなかった……「部屋」の中で産まれ、部屋の中で育ち、5歳になるまで一歩も「外」に出たことがなかったジャック。ジャックは「外」に「世界」があることすら知らないままに育ちました。だから、「脱出」に成功しても、すべてが初めてのことです。

初めて会ったおばあちゃん、おじいちゃん。
初めて食べるたくさんの食べ物(だからちょっとうんちが出なくなっちゃった)。
初めて感じる風(飛ばされそう!)。
初めての遊具(どうやって使うの?)
初めて会う、ママをいじめる嫌な人たち(どうしてママを泣かせるの?)。

外は楽しいってママから聞いたのに、なんでこうなっちゃうんだろう。
だから、ちょっとだけ、あの鍵のかかった、天窓のある「部屋」に帰りたいと思ってしまうのです――。

7年間、たった一人で密室にいて、5年間ジャックを育ててきた「ママ」の孤独。そして彼女の選択。
極限状態から「解放」されたはずの人間のさらなる苦悩と、再生のための、人間の決意。大きな救いを感じる、世界で絶賛されたベストセラー。

エマ・ドナヒュー[エマ ドナヒュー]
著・文・その他

土屋 京子[ツチヤ キョウコ]
翻訳

内容説明

監禁されていた「部屋」からの脱出に成功したジャックとママ。しかし「解放」されたはずの「外」は、決して天国ではなかった。いっそ、「部屋」に帰りたい―。ジャックの悲痛な声、五年間密室でジャックを育ててきたママの「外」での苦悩。そしてママはついに「決意」する。世界中で絶賛された、感動のベストセラー。

著者等紹介

ドナヒュー,エマ[ドナヒュー,エマ] [Donoghue,Emma]
1969年アイルランド生まれ。カナダのロンドン在住。ダブリン大学とケンブリッジ大学の博士課程修了。’94年に小説家デビュー、ラムダ賞の最終候補となる。’95年に発表した“Hood”、2000年に発表した“Slammerkin”が、それぞれさまざまな賞の候補となる。’10年に刊行した『部屋』にてマン・ブッカー賞の最終候補となり、ロジャースライターズトラストフィクション賞を受賞

土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年愛知県生まれ。東京大学教養学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mint-s

46
部屋から脱出し、やっと外に出ることができた2人。外は自由で楽しいはずだったのに…。「窓は誰でも使っていいの?」「あの人間は本物なの?」何もかもが初めてでパニックになるジャック。世間の好奇の目に晒され外の世界でジャックを育てることの不安から心を病んでしまうママ。それでも無邪気なジャックの存在がママを助け、ママの愛がジャックを強くたくましく成長させていくのだと思う。最後の部屋とお別れする場面は切なさと希望を感じました。読友さんが映画も良かったと教えてくださったのでぜひ観たいと思います(^^)2017/12/20

34
下巻もとても面白かったです。《へや》の外の世界はジャックとママを不安定にしましたが、一生懸命理解していくジャックの姿が胸に刺さります。未知の世界でも、もがきながらも生きていかねば、と思わされました。ラストにしんみりしました。ぎりじいが良い人です。映画の公開が楽しみです。観たいです。2016/01/23

かんやん

28
内から外へ。外へ入る。未知なるものの発見の旅とは、単なる移動ではなく、新たな視点の獲得である、と言った作家がいなかっただろうか。この小説が素晴らしいなと思えるのは、コペルニクス的とも言える認識の転換を五歳児の視点から描き切っているから。空や海を見て、言葉を学び直す。これは映画では決して表現できないこと。一見すかすかでほとんど会話で成り立っているような作品なのに、その細部はあまりにも濃密である。2022/01/22

アズマ

28
この話は脱出して終わりにならないところが好きです。お母さんとジャックとの差がだんだんた悲しくなってきます。ジャックは今後それまでのことをどう受け止めるようになっていくのかが気になります。2019/12/04

なるみ(旧Narumi)

26
2016年4月に公開予定の映画「ROOM」。偶然映画の情報をテレビで観て、原作にチャレンジしてみました。7年前に19歳で誘拐・監禁された母、「へや」で生まれ育った5歳のジャック。ジャックの視点から、下巻は脱出後の二人を描きます。一番心に残ったのは訳者後書きに述べられていた著者の一言。「わたしは実際の犯罪についても、犯人の凶悪性に焦点をあてたりして書きたかったわけではありません。閉ざされた困難な状況で生き抜こうとする母と子の姿を書きたかったのです。※コメント欄へ続きますm(_ _)m2016/01/30

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