出版社内容情報
開発コンサルタントの重役になった黒谷七波。政府開発援助ODAのからくりを知った彼女は「裏金」の世界に身を染めることにする。
開発コンサルタントの重役になった黒谷七波。政府開発援助ODAのからくりを知った彼女は「裏金」の世界に身を染めることにする。
内容説明
政府開発援助―ODA。国際支援の美名の陰で横行する、汚濁にまみれた裏金環流の仕組み。両親の借金返済のためにキャバクラでアルバイトをしていた京大生・黒谷七波はそのからくりを知り、開発コンサルタント会社に入社して後ろ暗い不正の温床に身を投じる決意をする。金。最初はただ、そのためだった。
著者等紹介
服部真澄[ハットリマスミ]
1961年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒。’95年に刊行したデビュー作『龍の契り』が大きな話題となる。’97年『鷲の驕り』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
53
世界の黒い構造にメスを入れる服部真澄が今回その刃先を向けたのはODA、政府開発援助を巡る汚職の世界。その利権に群がる日本の開発コンサルタントとゼネコンのピカレスク小説。主人公黒谷七波は40歳前後という若さで日本大手の開発コンサルタント会社の重役に登りつめた野心深き女性。新潟の貧しい農家から、京大に進み、バイトで生活費のみならず家業の借金返済をしている苦学生から成り上がった彼女の人生は虚構に満ちている。金で苦労した女性が潤沢な金を得るために汚職目的で建設業界に乗り込む。なんとも正直で人間臭いではないか。2015/03/08
幹事検定1級
27
海外のODA投資に絡み不当に利益を企業個人共に搾取する経済フィクション小説。初めて読む作家さんですが、流れるように物語が進んでいきます。いざ下巻へ。2018/04/23
RIN
27
何というか・・・時事問題を平易な言葉で大胆に端折りつつ説明してる日曜版のこども新聞みたいな安直さ。それも大いに偏った某新聞の。粗筋と服部真澄さんだからこそ読んでみたけれど・・・。こんなに下調べを疎かにする作家さんではなかったはずだが。ODAの使途についてはジャーナリスティックに言い立てられた時期があったが、これも政権交代前のヒステリックな官僚バッシングに似て、まるっきりの嘘ではないが木を見て森を見ずの典型かと。既刊本でもNGOに大いなる幻想を抱いていることが窺われる著者。この物語の着地はどこへ・・・2014/10/18
たかちー
11
開発コンサルタントに入社した七波が政府開発援助の裏金工作に積極的に関わっていく話。ベトナム駐在事務所所長になるところまで。タンザニアでトウモロコシ畑を潰して水田を作る話は痛ましかった。特に水田を造った理由の身勝手さには…。この件を契機に汚れ仕事にのめり込む七波も凄いけど。そして、時期的にミャンマーの債権免除と追加支援のニュースが、この話とどうしてもダブってしまう。2013/05/23
あきぴー@武蔵国
10
主人公七海と同じ業界(正確には、建設コンサルタント勤務で国内業務担当だが)にいる私としては、小説とは思えない内容だった。 フィクションとなっているが、日本工営が設計し、大成建設等がJVを組んで施工していたベトナムのカントー橋は2007年に崩落しているので、これらを題材にしているのは間違いない。もちろん、これらの会社が不正をしていたと言っている訳ではない。 土木技術者として、本当に住民のための施設や対策を行っているのかを考え、日々過ごす必要があると心の底から思った。 ★★★★★2012/12/14
-
- 和書
- ソーシャル・ワークの記録