出版社内容情報
綾辻 行人[アヤツジ ユキト]
著・文・その他
内容説明
館に閉じ込められた江南たちを襲う、仮面の殺人者の恐怖。館内で惨劇が続く一方、館外では推理作家・鹿谷門実が、時計館主人の遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追う。悪夢の三日間の後、生き残るのは誰か?凄絶な連続殺人の果てに待ち受ける、驚愕と感動の最終章!第45回日本推理作家協会賞に輝く名作。
著者等紹介
綾辻行人[アヤツジユキト]
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院修了。’87年に『十角館の殺人』で作家デビュー、“新本格ムーヴメント”の嚆矢となる。’92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
720
トリックも大胆で着地も綺麗。おそらくこの人物が犯人で、トリックもおそらくこんな感じなのだろうな…とボンヤリ感じさせつつ、最後までは読みきれずにきちんと驚きを与えてくれる技巧派な一作。『霧越邸殺人事件』と同時期の発表だが、霧越邸~が幻想派寄りに対してこちらは本格探偵小説寄りといった違いを感じる。強いていうと、あまりにも綺麗に全てのピースが嵌りすぎていて現実感に乏しいところもあるのかもしれず、その辺りに違和感を感じる読者はいるかもしれないが、それを『構築美』と捉える事が出来る向きにはたまらない作品である筈。2016/09/13
勇波
235
10数年ぶりの時計館再読です。綾辻作品の中でも傑作中の傑作。再読にもかかわらず何度も驚く自分にもビックリ?!それだけよく出来た作品なんですな。《新装改訂版》はあとがきと解説が充実してるのがいいですね★2015/06/10
しんたろー
233
怒涛とでも言うべき圧巻の下巻は上巻よりページ数があるが次々に起こる事件と謎解きで全く飽きない。多くの人が死んで、生き残っている人が少ないので犯人は想定できてしまうが、そんなことは物ともしない綿密に張られた伏線と練りに練ったトリックが「流石!本格ものの有名作!」と大向こうから声が掛かる程のものだった。館に込められたいた願いが解き明かされると、哀しく切ない想いが胸を打つし、大仕掛けのラストは幻想的で大作映画を見ているかのよう……予算をかけて創れば素晴らしい作品になる。ミステリ好きならば必読の本だと思った。2019/02/25
イアン
227
★★★★★★★★★★「館内」「館外」パートが交錯し、真相が明かされる下巻。1行の衝撃度は『十角館』に劣るものの、館自体の持つメッセージ性(建てられた意図)やメイントリックとの関連性などは他の館を凌駕する。通常のクローズド・サークルものなら犯行までの経緯(密室の解除方法等)に労力とページ数を割く所を、中村青司の館のお約束を用いることで簡略化し、メイントリックに注力させる点も上手い。読了後、どこに伏線があっただろうかと再読しようとして、最初の1ページ目で思わず手を止めた。ご都合主義だとかを越えて、圧巻の一言。2021/01/18
yu
172
Kindleにて読了。 トリックよりも、何だか殺人に至った人々の精神に驚いたというか・・・。 何の気なしに言った子供の一言が、ギリギリ保たれていた均衡を砕くきっかけになったというのが、物悲しい。誰が悪いとも言えないような結末だった。 人が死にすぎなストーリーだったけど、何となく一件落着?のような安堵感がある不思議な一冊。2016/01/24