出版社内容情報
島田 荘司[シマダ ソウジ]
著・文・その他
内容説明
一人息子が誘拐された。身代金の額はわずか十五万円。受け渡しの場所として山手線を指定され、警察側は完璧な包囲網を敷くが…。前後編の間に、都会の闇で蠢く人びとを活写した「ジャングルの虫たち」を挟む異色の犯罪小説。大胆なトリック、息をつかせぬ展開、繊細な人間描写が織りなす魅力に満ちた傑作。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを飾る小説の他にも日本人論やミステリー論など多くの評論も執筆。また、「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の選考委員も務める。現在、ロスアンジェルス在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
118
2009/8/12 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2018/11/30〜12/5 2年ぶりの島田作品。 タイトルはそういう意味だったのか!関西人で東京に馴染みがないので、トランシーバーのトリックには気づけなかった。2018/12/05
GaGa
37
さすがベテランの筆というか、読み出したらとにかく止まらない。色々意見はあるとは思うが前後編の間にある中篇も、私はこの作品全体で考えるとあるべきだと思う。ミステリーなので多くは明かせないが、作者が一番描きたかったことが作品のタイトルとなっております。まあ、それだけでもある意味ミスリードなのだが2010/11/10
LUNE MER
23
奇抜なトリックの類は登場しないが、小説としての面白さが「やっぱり島田荘司はいい!」と思わせる出来。御手洗も吉敷も登場しないけど、事件の質感としては吉敷シリーズに近い。物語の流れからすればメインではないのだけど、ラストでチラッと出てくる東京の地下網に関する都市伝説のようなくだりが本作で最も印象深い。初版時に読んで以来久々の再読で内容はほとんど忘れていたにも関わらず、この部分だけは何となく覚えていた。近年も首都圏で陥没事故が発生しているが、もしかすると…と勘ぐりたくなってしまう。知らんけど。2022/02/19
Tetchy
20
本来であれば本書は中編集というべきだろう。しかし通常の中編集と違うのは、前者の表題作が前後編に別れ、しかも前編と後編の間にもう1つの中編「ジャングルの虫たち」が挿入されるという、極めて特異な特徴を持っていることだ。私は本書を1つの新しい中編、いや長編の形の試みと評価する。成功しているか否かは別にしてやはりこの意欲は買いたい。御年60を超える島田のアイデアを物にするストーリーとプロットを思いつく知性はまだ新しい本格の型を模索する貪欲さがあり、後続の本格ミステリ作家にはまだ負けないという気概さえ感じる。2010/05/01
naolog
15
岐阜羽島への出張中に読んだ本。帝都がどう衛星軌道を描いているか、という点については自論と合致するところがあります。地下都市の構想については以前より島田荘司は指摘していますね。なお、全体のトリックはそれほど面白くなかったという重要な点も記しておきます。2016/03/29