内容説明
犯人の妻は、夫から虐待を受けていた。何も映さない、その黒い瞳が見たものは何か。事件を追ううちに、十年前に北イングランドの田舎町で起きた、おぞましい集団虐待事件が浮かび上がる。今ふたたび過去の封印は解かれ、ふたつの事件の間には恐ろしいつながりが―。胸に迫る英国叙情派ミステリーの傑作。
著者等紹介
ロビンスン,ピーター[ロビンスン,ピーター][Robinson,Peter]
1950年英国ヨークシャー生まれ。リーズ大学卒業後、’74年にカナダへ移住し、ヨーク大学で博士号を取得した。’87年アラン・バンクス首席警部を主人公とする『罪深き眺め』でデビュー。『渇いた季節』で2000年にアンソニー賞、バリー賞をダブル受賞。’01年にはMissing in Actionでエドガー賞最優秀短編賞を受賞するなど受賞歴多数
野の水生[ノノミオ]
東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっちゃん
16
虐待を根底にした連続殺人、最初はムカつくと思っていた犯人だけど、5本足の羊には妙に納得!行方不明になった少女達の背景や、主人公の女性関係、刑事さんに、犯人周りの登場人物等を見回すと、なんと女性の多い本か!ミステリ界にも女性の進出が(笑)2016/05/08
bapaksejahtera
8
男が若い女性を自宅に引き込み嗜虐の果にそれを殺害宅地内に隠匿するという猟奇犯罪。主犯と見られた夫は、駆けつけた警官一人を殺害した後、女性警官に反撃され意識不明となる。警官は過剰防衛として査問を受け起訴に。他方主人公リーバスは多数の犠牲者を知らぬまま同居を続けたと主張する妻を怪しみ追求する。隣家の挿絵画家の女性は自分のDV経験を根拠にその女性の応援活動にのめり込むと言う展開。最後は余りにも多くの関係者が陰々滅々とした結末を迎える。挿絵画家が画材とするグリム童話の陰惨さが、この小説の通奏低音とし効果的である。2021/08/27
himehikage
3
ほかの人のコメントにもあったが、会話文の訳が気になる。捜査を仕切るバンクスは相応な渋さを持った中年男だと思うが、特に親しい女性と話しているときの口調がまるで十代の少年みたいに軽くて(「ほんとだってば」とか)違和感。2010/02/07
かえる
2
事件の全容は最後に明らかになったが、嫌な後味。児玉清はどこに惹かれたのだろうか。話の展開?他を読んでいない、シリーズ物における背景?だが他の作品を読みたいとは思わなかった。2013/10/20
もっち
2
一つの事件の「終わり」から止めどもなく広がっていく悲惨な余波 よくぞ書ききった、という傑作2009/07/30