出版社内容情報
2001年度「このミス」4位の名作がついに!
姉を殺害した犯人に、事件現場で襲撃された片桐稔は、その後遺症から通常の“匂い”を失い、イヌ並みの嗅覚をもつことに……。まったく違う世界に戸惑いながらも、失踪したバンド仲間を、嗅覚を頼りに捜し求めてゆく。新たな能力を駆使することで、姉の仇を討てるのか?新感覚の大長編異次元ミステリー。
井上 夢人[イノウエ ユメヒト]
著・文・その他
内容説明
姉を殺害した犯人に、事件現場で襲撃された片桐稔は、その後遺症から通常の“匂い”を失い、イヌ並みの嗅覚をもつことに…。まったく違う世界に戸惑いながらも、失踪したバンド仲間を、嗅覚を頼りに捜し求めてゆく。新たな能力を駆使することで、姉の仇を討てるのか?新感覚の大長編異次元ミステリー。
著者等紹介
井上夢人[イノウエユメヒト]
1950年生まれ。’82年、徳山諄一との共作筆名・岡嶋二人として『焦茶色のパステル』で第28回江戸川乱歩賞を受賞。’86年、日本推理作家協会賞、’89年、吉川英治文学新人賞受賞後、同年、『クラインの壷』刊行と同時にコンビを解消する。’92年、『ダレカガナカニイル…』でソロとして再デビュー。ジャンルの枠にとらわれない意欲作を発表し続けて活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
194
上巻だけで600ページ近くて、読み始めるのに、それなりの決意が必要だったが、全くの杞憂に終わった…まず「匂いが見える」という発想が素晴らしい。ファンタジーではあるが丁寧に説明しているので想像し易いし、慣れてくると美しくさえ感じる。主人公・稔の語り形式なのもサクサク読める要因だし、たまに挟まれる犯人目線の短い章がサスペンスを煽ってくれる。猟奇的な連続殺人とバンド仲間の失踪事件を軸にしながら、嗅覚の不思議さと稔の探索が結びついているので楽しく読めた。下巻への期待が高まる終わり方で、直ぐに突入!♬2020/06/18
かのこ
50
読友さんに教えていただいた本。殺人鬼に姉を殺され、犯人に殴られたことをきっかけに超人的“嗅覚”を手に入れた片桐稔。戸惑いながらも、その力を利用して、姉を殺した犯人と、行方不明になった友人を探し出そうとする。 独創的な設定のミステリー。イマジネーションに溢れてて、視覚的に感知される嗅覚の説明などなど読んでいてめちゃめちゃ楽しい!時折挟まれる犯人視点パートにぞくりとさせられつつ下巻へ。2019/04/27
さっこ
49
読友さんお勧めの1冊。井上さんらしい作品でとても面白い。姉の殺害現場に出くわし、犯人に頭や顔を殴られ一か月程昏睡状態に陥った主人公。目覚めると警察犬以上の嗅覚になっているのですが、それが匂いで感じるのではなく視覚として匂いを捉えるというのが面白くてお話がイメージしやすかったです。バンドのメンバーが失踪し、テレビを利用してメンバーを探そうと動き出します。上巻では嗅覚の異変で戸惑う主人公の生活にページ数を結構割いていましたが、下巻では犯人への対峙が加速するかな。楽しみ。2019/08/28
ひよこ
39
◆姉を殺した犯人に襲われて、犬並みの嗅覚を得たミノル。この能力を駆使して姉を殺した犯人と行方不明になった友だちを追うことを決意するが、テレビやら大学の研究者も絡んできて、何だかきな臭くなってきたところで下巻へ・・・。◆井上さんの文章はとてもよみやすく、SF的な設定でもすんなり理解できるので、とても面白い!匂いを活字でこれ程うまく伝えられるのはホントにスゴい!さてさて、事件はどうなることやら・・・。2017/08/15
tengen
38
片桐稔は姉を殺され、居合わせた現場で自身も殴られ瀕死の重傷を負う。 1か月の後に目覚めた稔は異様な世界に包まれていた。 匂いの世界が視覚となって表れたのであった。 姉を殺害した犯人は次々と犯行を重ねる。 イヌ並み、いやそれ以上の嗅覚を持った稔は犯人を追う。 ☆彡 破天荒な設定!に友人の失踪や彼女との関係などが絡む。2021/06/12