内容説明
都への入口となる琵琶湖は室町中期、膨大な水運利権を巡る闘いの舞台であった。中でも堅田関の船道衆は「湖賊」と呼ばれ人々に恐れられていた。天才的な操船術で関を破る青年魚鱗は、一人、湖国の王を目指す。蓮如をして「地獄へ落ちても他力にすがらぬ」と言わしめ、湖に自由を求め闘い続けた男の壮烈な生涯。
著者等紹介
高橋直樹[タカハシナオキ]
1960年東京生まれ。’92年「尼子悲話」でオール読物新人賞を受賞。’96年「異形の寵児」で直木賞候補、’97年『鎌倉擾乱』で中山義秀文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RED FOX
12
室町時代の琵琶湖の漁師・天台宗・日蓮達のバトル。中でも主役は湖賊たち。天才船乗りがかっこいいいつかご当地回りしてみようと思いました。2014/10/10
紅花
11
読み始め、なかなか全体がつながらず、少しつまらなく思ったが、全体像がまとまる中、湖賊を中心に当時の生活や政治、男同士の駆け引き、友情、戦いが琵琶湖の風と共に描かれていて、半ば過ぎからはあっと言う間に読んでしまった。主人公の深い悲しみと孤独、熱い思いがひしひしと感じられて、最期には、何とも言えない寂寥感に見舞われる。歴史に無知な私に、室町時代がどんな時代か、ボンヤリと像を与えてくれた一冊。2014/07/23
TheWho
10
時は応仁の乱の勃発前の室町中期、、東国や北国、更に大陸からの膨大な文物の経路地になる近江国の琵琶湖に跋扈する湖族(湖の海賊)の魚鱗を主人公に描く海洋ならぬ戦国湖洋絵巻。室町中期の琵琶湖では、京への輸送ルートとしての水運利権構造や湖畔に住む住民のヒエラルキーが複雑に絡まった地域で、物語はヒエラルキーの最下層の漁師(チェリンコ)の主人公が、モグリの湖賊となり、湖の自由を求め戦い続けた壮烈な生涯を綴る。そして幕権の失墜や延暦寺の衰退、更に一向宗の躍進が戦国初期を彩る興味深い一冊です。2023/01/26
siopop
3
読み始めから中ほどまでは中々面白い本だ!って感じていたのですけど、 中ほどを過ぎてからは、どうにも小説の中に入り込めない読み辛い本になってしまいました。正史に隠れた逸話を題材に物語を書くのならもう少し主人公に肩入れ出来るような小説の方が好きです、この小説のように少し離れた感じでは感情移入し辛いです。 背景は良さそうだっただけに少々残念な感じを抱いてしまいました。2014/10/14
シン
3
本年最終の本を読了。テーマとしては興味深く思ったが、全体的に盛り上がりに欠け、いつの間にやら話が終わっていたという印象を受けました。2012/12/31