出版社内容情報
畑村 洋太郎[ハタムラ ヨウタロウ]
著・文・その他
内容説明
恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツ。個人の成長も組織の発展も、失敗とのつきあい方で大きく違う。さらに新たな創造のヒントになり、大きな事故を未然に防ぐ方法も示される―。「失敗は成功の母」を科学的に実証した本書は、日本人の失敗に対する考えを大きく変えた。
目次
プロローグ 失敗に学ぶ
第1章 失敗とは何か
第2章 失敗の種類と特徴
第3章 失敗情報の伝わり方・伝え方
第4章 全体を理解する
第5章 失敗こそが創造を生む
第6章 失敗を立体的にとらえる
第7章 致命的な失敗をなくす
第8章 失敗を生かすシステムづくり
エピローグ 失敗を肯定しよう
著者等紹介
畑村洋太郎[ハタムラヨウタロウ]
1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。現在工学院大学教授。東京大学名誉教授。専門はナノ・マイクロ加工学、知能化加工学、創造的設計論
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
119
なんだかトヨタ本を読んでるような感じでした。すると、トヨタでは既に失敗学が知識として浸透し機能しているのではないか、とも思ったりもします(しているのでしょうね)。それはよいとして、”失敗”がネガティヴなものとして認識されるのであれば、”悲しみ”等と同様に上手に付き合っいくことが肝要なのではないかと思いました(言うのは簡単ですけど・・・)。”失敗”への再認識ができたのが本書からの収穫でした。2016/06/08
ehirano1
107
再読。”客観的失敗情報”は役に立たない!主観的失敗情報の方が大切”、という著者の指摘には呻りました。確かにそこ(本人がその時どう考えていたか、どのように思っていたか、どんな気持ちだったのか)に”本質”がありますよね。というのも、大体のケースにおいて「マニュアルどうりにやったのに・・・」、「いつもはうまくいくのに・・・」という言は残念ながらよく聞く話ですし、主観はなかなか数値化できませんので。2016/06/18
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
101
世界の三大失敗。タコマ橋の崩壊、コメット飛行機の墜落、リバティー船の沈没。これらは人類に新たな課題を与え、それと向き合うことで我々はさらなる技術向上の機会を得る。「失敗は成功の母」と言う。失敗することは悪いことではなく、その失敗を冷静に解析し、次へと活かすことが大切だということがわかる。失敗を「学問」としてとらえたところが素晴らしい。企業で起こる事故解析など、実際の学問として非常に役に立つ。★★★★
Miyoshi Hirotaka
90
意味のある失敗とは、知識を共有することで次の失敗を予防したり、社会的な損失を最小限に抑えたりできるものをいう。ところが、失敗情報は伝わりにくく、隠れたがる。また、単純化されたり、すり替えられたりする。時の経過により減衰し、逆に神話化される。あらゆる技術には寿命がある。そのサイクルをマネジメントすることが、致命的な失敗を未然に防止する。マニュアル化は未熟なミス防止には有効だが、思考停止の罠として作用し、その影で失敗を成長させる。小さな失敗を許容し、変化への適応を促す仕組みを作るのが致命的な失敗を避ける方法。2014/10/09
コージー
61
★★★★☆著者は「失敗学」提唱者の畑村洋太郎氏。「失敗学」とは、不必要な失敗を繰り返さないとともに、そこから成長するための知識を学ぶこと。社会問題になった雪印乳業の食中毒事件等を取り上げる。15年前の本だが、「失敗は恥」とする日本の文化は変わらない。危機管理に対する見方、意識が変わった。【印象的な言葉】「こうすればうまくいく」という成功話から生み出されるものは結局はマネでしかない。「こうすればまずくなる」という失敗話を知って企画することは、前の人よりも一ランク上の創造の次元からスタートすることができる。2018/05/02