内容説明
上野の杜に響く山本直純と岩城宏之の笑い声。音楽を愛し、指揮棒を振ることに青春を捧げた日々。師との出逢い、学外のバンド活動、恋愛、そして失恋。学生の交響楽団でショスタコービッチの「森の歌」を演奏するまでの素晴らしい時代を、軽妙なタッチでユーモア一杯に活写する感動の傑作青春グラフィティー。
目次
前奏曲
調子はずれの木琴
原宿参り
「学響」のとき
酔っ払った用心棒
恋の涙
無銭旅行
幻想と歓喜
森の歌
著者等紹介
岩城宏之[イワキヒロユキ]
1932年東京都生まれ。東京芸術大学音楽学部打楽器科に学ぶ。在学中にNHK交響楽団副指揮者となりデビュー。その後、国際的な演奏活動を続ける。現在、NHK交響楽団終身正指揮者、メルボルン交響楽団終身桂冠指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督兼石川県立音楽堂芸術総監督、東京混声合唱団音楽監督など務める。数々の音楽賞のほか、1996年に紫綬褒章、2002年に日本芸術院賞・恩賜賞を授与された。メルボルンには、その業績を称える「イワキ・ホール」がある
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感想・レビュー
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koji
16
取引先社長と金沢談義していた時、石川県音楽堂から岩城宏之さんの話になり、本書を紹介されました。岩城さんと親友山本直純さんの東京芸術大学時代のハチャメチャ、抱腹絶倒、バンカラ(最早死語でしょうか)の青春記です。独特の感性で天才肌の直純さんと、理論家で正義感の強い岩城さん。息がピッタリの二人は、コンプラすれすれ(時に逸脱)の盛大なイタズラを仕掛けます。昭和20年代後半という時代背景を考えると、そこにあるのは抑圧された戦時下の状況から解放された自由で伸びやかな生き生きした躍動感。何だかちょっと羨ましくなりました2021/07/15
紅花
12
若い頃読んだときには、ハチャメチャさに面白いと思ったけど、久しぶりに読んでみて、やや冷静に読めた。ドリフのコント?と思わせるような場面の生き生きとした文章が素晴らしい。岩城さんのペンの力に脱帽。今の大学生がこんなことしたら、大問題になるんだろうけど、当時の社会の懐の大きさ、なんといっても、彼らの理解者の「あけちゃん」の存在を感じた。彼らの才能に気づいた居たのかしら?2018/05/05
Ayako H
6
図書館から。岩城宏之が山本直純との芸大での青春時代を書いたもの。昔の芸大ってすごいところだったのね〜。そして面白い人達がたくさんいたのね。それは美校についても同じだけど。今では考えられないようなことが盛りだくさんの楽しい本でした。2022/07/20
あじさい
5
大字本で読んでみた。 山本直純の破天荒さが面白くて、音楽家にも色々なタイプの人がいるんだなぁ!と思いました。2013/07/25
りゅっく
3
エッセイはとにかく笑えるものを求めている。芸大の音楽家たちの青春群像劇は当時高校生だった私にはサイコーに笑えた青春エッセイ。1990/12/01