内容説明
なつかしい人の絵手紙。下戸の好きな酒の肴。道端でよく会う老トラ猫。名文家・青木玉は、なによりも生活の巧者である。日々をていねいに暮らすなかで見出される、小さいけれどもかけがえのないことごとを、祖父・幸田露伴、母・幸田文と過ごした小石川の家の三代の思い出とともに、みずみずしく綴るエッセイ。
目次
手もちの時間(泣くお椀;しもやけ;飲めるかな ほか)
過ぎた時(梅雨ぞらの下に;夏すがた;露しば ほか)
つながり(蝸牛庵さまざま;祖父の本;それぞれの塔 ほか)
著者等紹介
青木玉[アオキタマ]
1929年幸田文の長女として東京に生まれる。1949年東京女子大学国語学科卒業。1959年結婚。1995年『小石川の家』で1994年度芸術選奨文部大臣賞受賞
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感想・レビュー
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naotan
3
四季折々を通して語られる表現力豊かな文章にホッとした。特に食べ物がおいしそうw2015/06/20
てくてく
3
美しい文章とはこういうことを言うのだろうかと思わせるエッセイ集。単に幸田露伴や幸田文のゆかりの人物による回想に留まらず、この人自身のものの見方に好感をもった。こちらから読んでしまったが、最初にまとめた「小石川の家」を読んでみたい。2014/10/03
こまっちゃん
2
丁寧なくらし、美しい言葉。自分には無理だと分かっているのに、お番茶を焙じる焙烙が欲しくなりました。次は玉さんが手がけた幸田文全集を読んでみようかな。2015/08/27
miya
2
そういやワタクシ幸田露伴の作品読んでないかも。忘れただけか?ほうじ茶について書かれた文が美味しそうでお茶をほうじて飲む生活に憧れ。2010/12/14
あ げ こ
1
思いを寄せたすべての物事を優しい眼差しで見つめ、その一つ一つを丁寧に語る。ゆっくりと穏やかに流れる言葉。小気味よい幸田文の随筆とはまた違った魅力を持つ。『流れる』執筆当時の裏話、見覚えのある白い紬とにび色の話…母親への深い愛情が見えるものは嬉しい。だが彼女自身の色がしっかりと出ているものも読んでいて楽しい。自分の最も愛する幸田文作品が、青木玉の強い希望により世に出たものである事を知った喜び。読める幸せを噛み締める。2013/06/23