内容説明
天下をとるぞ。野望を胸に三十年、天才軍師・由井正雪は巧みな弁舌で、槍の名人・丸橋忠弥と語らい、紀州公を抱き込み、五千余の同志を集めた。慶安四年家光薨去を好機に、世に溢れた浪人救済を名目に幕府転覆を謀る。が決行前夜、計画は漏れた。徳川三百年一番の大陰謀、遅れてきた風雲児を描く柴錬痛快文庫第一弾。
著者等紹介
柴田錬三郎[シバタレンザブロウ]
1917年岡山県生まれ。慶大支那文学科卒。在学中より「三田文学」に作品を発表。1951年「イエスの裔」で直木賞受賞。1956年創刊の週刊誌に「眠狂四郎無頼控」を連載、ニヒルな剣士と円月殺法は剣豪小説ブームを呼ぶ。1970年『英雄ここにあり』で吉川英治文学賞受賞。伝奇小説の醍醐味を堪能させる作品を多く残し1978年6月逝去
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感想・レビュー
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蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
50
昭和30年に児童向け『実録時代小説』シリーズの一冊として発表された本。しかし児童読物というより講談に近い。冒頭、10歳の由井正雪が「無学で、頭の悪い百姓たちよ、聞きなさい!」と超失礼発言。その後も父が死に、遺言通り坊さんにさせられそうになると「まわりの人々をなぐったり、仏壇にとびあがって、位牌をうちこわしたり、たたみの上へ、大小便をたれながしたりして、どうにも手がつけられないありさまがつづいた」(笑)。その後も何かと御都合主義があったりしてかなり面白かった。痛快文庫の名に恥じない一冊。お勧め。2014/05/23
syam
2
紙芝居みたいだなぁと思いながら読んで、実際それに限りなく近いものと知る。子供だましと思って読めばまあ面白いかな。2016/05/02
よっ!
2
幕府転覆計画を企てた由井正雪の話。読みやすい。★★★☆☆2010/05/18
日本たらこ産業
2
柴錬痛快文庫第一弾と銘打たれた当作品。慶安の変を引き起こす軍学者・由井正雪の物語。巻末の解説によれば「柴錬痛快文庫」の初刊本は作者が作家生活の初期に書き下ろした児童向け作品を逐次刊行したものらしいです。柴田錬三郎さんの作品を読むのは初めてだったのですが、非常に読みやすく、それでいて知恵伊豆との駆け引きなど手に汗握る場面もあり、痛快な作品でした。2013/04/10
八丁堀
2
家光薨去(こうきょ)を好機に、紀州公を抱き込み、世に溢れた浪人救済を名目に五千余の同志を集め幕府転覆を謀った 由井正雪事件物語(文庫帯より)。史実であるがゆえに柴錬流の虚構が許されず読み物としては面白くない。浪人たちの首魁として天下を揺るがすも切腹で志空しく終幕を告げた由井正雪の生き様に迫るなり、徳川家倒幕と云う恐るべき天下の野望を抱いた背景を柴錬流に迫ってほしかった。2012/07/22
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