内容説明
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。―そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
462
とにかく読後の余韻が凄まじいです!本作では”スプートニク”を比喩に用いて、「心」「こちら側」「あちら側」のリンケージが綴られます。おそらく再読を重ねる毎に各々異なる感想が得られそうで何度でも楽しめるのではないかと思います。因みに、最後の方の「月」に係る描写は1Q84へと繋がって行くのですかね?2016/05/07
HIRO1970
324
⭐️⭐️⭐️とても村上さんらしい素敵なお話だと思います。どう来るかなと思っていたラストが少しだけ唐突な感じがしましたが、読後感も良い作品でした。毎回進化していく村上さんについて行くのはなかなか大変ですが、新たな世界観を創り出すのは簡単では無いですし、誰にでも出来ることでは無いので、毎回期待して作品を手にとってしまいます。次も楽しみです。2014/06/06
抹茶モナカ
280
『スメルジャコフ対織田信長家臣団』のCD-ROMのフォーラムを読むための予習として、久し振りに再読しました。以前は違和感しか感じなかった記憶があるけど、再読して感じたのは文章の素晴らしさ。いろいろな文体の集大成なんですね、確かに。諸説あるようだけれど、僕は、エンディングはハッピーエンドとしてとる立場でいたい。禁煙2年目の身としては、小道具で煙草が頻繁に出て来るのが、個人的に嫌だった。まあ、すみれがビートニク小説読む人だから仕方ないけど。ミュウの観覧車のエピソードは、印象的。会話文も良く、魅了されました。2016/01/07
tokko
246
「扉」を通って「別世界」と行き来する、「ねじまき鳥クロニクル」と「海辺のカフカ」のちょうど間にある中編小説。やはりすみれは井戸のような場所を通って、どこか別の世界に行ってしまったのだろうか?おそらくミュウが観覧車から見たもう一つの世界、もう一人のミュウが存在する世界を求めて。2011/10/06
吉野ヶ里
202
記号と象徴。洗練される前のすみれが個人的には萌え度高かったなあって。で、まあ、人間は結局一人で生きてくんだけど、一人で生きてくのってちょっと辛いわーって感じだから、時々、誰かを求めちゃって上手くいったりいかなかったりするんだよーって話。雑に面白かったです。独特で丁寧な風景描写が神掛かってますね。文章表現の雰囲気としては特に好きな時期の春樹です。表現力高過ぎ。ただ最後にすみれが帰って来たのが頂けなかったかなあって個人的には思ったり。あるいは、夢だったのかしら? 私も猿の首を切って進まなければならない。2015/03/17
-
- 和書
- 芸能人式ダイエット