内容説明
自分自身オカルト体験をしているユングが、死後の魂の存在の問題など、人間の無意識、深層心理を大胆に堀り起こす。超心理学な本。
目次
序章 人の心に関するきわどい問題
第1章 心霊的現象
第2章 無意識の心理学
第3章 魂と死
第4章 超心理学
終章 「心の闇」に挑んだユングの生涯
著者等紹介
島津彬郎[シマズアキラ]
1922年、広島県に生まれる。京都大学大学院(英文学専攻)修了。神秘的な作風で知られるアイルランドのノーベル賞詩人、イェイツの研究で知られる。明治大学名誉教授。日本イェイツ協会会員。著書には『W・B・イェイツとオカルティズム』(平河出版社)、『イェイツを読む』(研究社出版)、訳書には『幻想録』(プレジデント社)などがある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
p.ntsk
33
オカルト現象を心理学的に扱い心の内側に起こる心理的なものとして考察しつつもユング自身がオカルト現象の体験者であり超心理学的存在を否定していないところが興味深いです。 2016/10/20
藤月はな(灯れ松明の火)
17
父からの戴いた本。フロイトの弟子でもあったが後に批判的な立場で夢診断という分析心理学によって科学的見方と反すると考えられてきた魂と過去と心に内包しているために観測される心霊現象について研究したユングの考えを分かりやすく、説いている。特に宗教人類学は宗教に対して「生きている人が生きやすくするためという見解」としているがユングでは「死ぬための心構えである」としている所と「生きたくないと思うほど死にたくないという考えに直結する」という点が印象的だった。2012/09/30
猫丸
12
ユングは“向こう側へ渡ってしまった人”でありながら「いや、そんなことはないです」と表面上は否定して、科学的実証主義の範疇にとどまるポーズを見せ続けたのだろう。霊界の存在は確認困難としながらも、行間からは確信が溢れ出している。そのパーソナリティ形成に大きくあずかったのは、やはり幼児期の体験であるようだ。優越願望に由来する前世幻想から始まった超越志向は、直接にはキリスト教と結びつかなかった。のちに集合無意識へ至る思考は、より原初的で素朴な霊感覚への人類学的視線から生じたものらしい。2021/04/19
roughfractus02
10
秘学(occult)とは五感で感受できない物事を表し、神秘とも訳される。本書は著者がそれを確信する学位論文提出後の個人を超えた潜在記憶への注目に始まり、W・パウリと議論した共時性(シンクロニシティ)の考察や、錬金術や東洋の思想との出会い、そして超心理学に言及する晩年までの7論文を収録する。特に生死の因果を逸脱する不死の予感を、因果性がないにもかかわらず複数事象で生じる共時性の研究からから接近する態度には、非因果的連関(意味のある偶然性)を物理学者パウリと対話しつつ科学的に解明しようとする強い意欲を感じる。2021/06/28
蛹
1
「オカルト」という言葉は「神秘的・超自然的」と捉えられるため、外的な存在であると考えられるが、それは人間の内面的な要素に起因するものである。例えば、殺人現場で不快感を抱くような事象の原因は分子レベルで残留する血液の臭いによるものであったり、ターンテーブルの実験で神秘的な力によって物体が動く現象の原因はそれに触れる人の無意識的な筋肉の動きよるものだったりする。そうした無意識の複合的な結晶が、個人的なものでは「魂」、普遍的なものでは「霊」であるのだ。こうした意味において、不可視の超自然的存在は「存在する」。2019/10/25
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