内容説明
犯人の足跡は、壁の中に消えていた!?養老院「天幕荘」を舞台とした恐るべき事件は、奇妙な密室殺人から始まった。かつては超人的な芸を誇ったサーカスのスターばかりが余生を過ごすなか、次々起こる奇っ怪な出来事。彼らにとって完全な「密室」など存在しうるのだろうか…。新本格ホラーミステリの傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koma-inu
27
1点 綾辻行人氏激賞!らしく、ホラーミステリ。数作しか無い著者のミステリで、サーカス団療養所で起こった密室?殺人がテーマ。中盤からはホラー要素が大きくなり、密室殺人の解明はどこ行った?と思うほど脱線気味。それでも最後は探偵が謎解きしますが・・犯人は、ありなの?という感じです。サーカス、恋愛、ハードボイルド要素もあり、各々収束不足な気がしますが、著者の溢れる想いが詰まった一作でもあります。2021/11/21
安田
21
元サーカス芸人ばかりを集めた養老院「天幕荘」。チャーター機の不時着で迷い込んだ雑誌記者の真野は、奇妙な墜落死の謎に巻き込まれる…。「田園に死す」を思わせる雰囲気。いかがわしさ全開のザ・新本格。胡散臭すぎる探偵のキャラをはじめ、戦前の変格物へのオマージュっぽい場面が散見されるのがたまらない。メインの四次元トリックはかなり大胆だが、本筋から浮いている感じもする。むしろカーのアレを連想させる、犯人隠蔽の手口に唸らされた。あとはこの濃密な世界観にどこまで乗っかることができるか。乗り切れた自分にとっては傑作だ。2017/11/13
芍薬
13
トリックや犯人がどうこうよりも、棚に並ぶ瓶詰め剥製や内臓模型、回る白骨馬のメリーゴーランドなど突如現れる素敵な舞台設定にクラクラしました。2012/06/30
しろ
10
☆7 昔から、観衆たちはフリークスをみて嗤い蔑んでいたが、フリークスも観衆たちのことを嗤っていたのかもしれない。サーカスの元スターが老後を過ごしている施設で起きた奇怪な事件。密室状態の現場で死体がみつかり、その周りには壁をすり抜ける子供の足跡と馬のひづめのような足跡だけが残る。畸形を見世物とした伝説のサーカス団の存在がちらついて、不気味でグロテスクなミステリとして魅力的にしていた。その犯人やゴローの存在を使った仕掛けなどミステリとしても良く、また畸形やサーカスなどのガジェットが創る雰囲気がとてもいい作品。2012/03/04
青葉麒麟
10
炎上してる観覧車とか独特な雰囲気が凄く好き♪2011/09/08