内容説明
息子の不始末から福岡黒田藩の総目付を辞職し、隠居生活を楽しんでいた半睡。だが、同藩江戸藩邸の風紀の乱れが甚しくなると、その取り締まりのため白羽の矢が立った。江戸に移り住んだ半睡が、次々と起こる難問を見事に裁く。所変われど、そのキレ具合は衰え知らず。おなじみの十時半睡シリーズ第五弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
11
前作で総目付を辞職した十時半睡だが、隠居生活もつかの間、今度は江戸屋敷の総目付を任じられるシリーズ5作目。なかで面白かったのは表題作と「目には青葉」。また半睡の江戸行きに随行する若党の中村勘平や、江戸屋敷の長屋で下女として働くお仙が好感のキャラクターで次作が楽しみです。2019/11/17
TheWho
11
福岡藩総目付で隠居の十時半睡が、藩内の騒動を巧みに裁く短編連作の人情時代小説で全7巻の「十時半睡事件帖シリーズ」の第5巻。前巻の結の章で息子の不倫不祥事で総目付を辞職した半睡は、悠々自適の日々に飽き、請われて江戸藩邸新設の総目付に就任すべく天涯孤独の若党を伴い江戸へと飛び立つ事となる。赴任した半睡は、江戸藩邸の惨状を憂い着実に目付機構を組織し、持ち込まれる難問奇問や醜聞を茫洋とした雰囲気で対処する六編の物語。舞台が国元から江戸へ変わり物語の雰囲気が一新され、更に深みが増した様に思える一冊です。2016/02/04
ソババッケ
9
シリーズ5作目。前作では息子の弥七郎が問題を起こし総目付を辞した(名目は老齢のため)。今度は江戸藩邸への総目付として懇願されて出府、半睡65歳である。江戸藩邸には藩士や使用人が合計2500人、領国と違って揉め事は他藩や江戸市民と拘わってくる。時代は寛政5年(1793年)頃、藩主は第9代斉隆(一橋家から養子)である。黒田家官兵衛の血筋は7代治之の時に既に途絶えている。もっと福岡城下の物語を読みたかったが、舞台は江戸に移った。供は福岡で安部流道場の師範代だった中村勘平、江戸で雇った下女のお仙である。★3.5 2016/03/23
森の猫
9
隠居した十時半睡翁。江戸屋敷の十人目付制度へ改革のため、江戸総目付役に就任。 江戸での生活が始まります。 現役ばりばりの駆け引きで 他藩との折衝を見事にまとめたり、国元にいる時よりも かくしゃくとして若返った様にも思えます。 仕事人間の十時様は、隠居生活はまだまだなのかもしれません。2014/12/28
Ribes triste
8
十時半睡事件帖第5巻。半睡、江戸藩邸総目付役となる。国元離れてからはますます闊達。周りに集まった個性的な面々も楽しい。2018/03/09