講談社選書メチエ<br> 中国外交戦略―その根底にあるもの

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講談社選書メチエ
中国外交戦略―その根底にあるもの

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586184
  • NDC分類 319.22
  • Cコード C0331

出版社内容情報

共産党創設と人民共和国建国の「二つの百年」を前にして、習近平の中国はなにを目指すのか? アメリカそして日本との関係はいかに! 本書は、中国共産党創設100周年(2021年)と中華人民共和国建国100周年(2049年)の「二つの百年」を見据えた中国の外交・安全保障戦略について考察するものです。2015年10月現在までの習近平体制下の中国を中心に、胡錦濤、江沢民の時代にさかのぼり、四半世紀にわたる中国外交を検討します。
 課題とするのは、以下の三点。
 第一に、現在の中国の外交方針や国家戦略、安全保障戦略を、「過去から現在、現在から未来に向かうプロセス」のなかでとらえるならば、いかに整理できるか。中国共産党と中国政府の外交方針は、ソフトで協調的な外交方針を対外的に表明しつつも軍事力を増強しており、日本や一部のアジア諸国にたいしてきわめて強硬な対外行動を執るなど言動不一致で矛盾しています。著者は、党や政府の発言に潜む独特の論理を解きほぐし、こうしたわかりにくさの向こうにある、中国の主張する「新しい国際関係」とはどのような世界観であるかを明らかにします。
 第二に、中国は「韜光養晦」(能力を隠す)の外交方針から、二〇〇九年に「堅持韜光養晦 積極有所作為」(韜光養晦を堅持して、やれることを積極的にやる)方針へ切り替えました。また「21世紀のシルクロード」を唱えて中央アジアに積極的にアプローチすると同時に、ロシア、インド、中東、ヨーロッパとの関係も再構築しようとしています、その方向性をどのようにとらえるべきか。そして唯一の超大国にして衰えつつあるかにも見えるアメリカを、中国がどう評価し、対峙していくかがカギになります。
 第三に、習近平体制下の中国は、対米関係、中央アジアや周辺外交政策において、日本をいかに位置づけているか。そこから、2020年前後の近未来における日中関係がどうなるかを展望します。
 読み終えたとき、読者の視界が少しでもひらけたように感じられたなら、本書のねらいは達せられたことになりますし、そうなると信じて本書を送り出します。

  序 章 パワー・シフトのなかで
  第一章 「富国強軍」へ向かう中国
   1 中華民族の偉大なる復興
   2 核心的利益
   3 公共外交と愛国主義教育
  第二章 「中米新型大国関係」とその矛盾
   1 中国外交におけるアメリカ要因
   2 A2ADとTPP
   3 「カラー革命」への警戒、そして台湾
  第三章 「一帯一路」の対外戦略
   1 二つのシルクロード構想
   2 「五通」の強化と西進戦略
   3 インド、アラブ、ヨーロッパとの関係
  第四章 「海洋強国」の野望
   1 「積極的防御」の軍事戦略
   2 南シナ海波高し
   3 尖閣諸島と沖の鳥島
   終 章 「Gゼロの世界」と膨張する中国


三船 恵美[ミフネ エミ]
著・文・その他

内容説明

遅れてきた超大国はどこに向かうのか?中華民族の偉大なる復興、核心的利益、一帯一路、海洋強国…。習近平の中国は、日本を圧倒して東南・中央アジアに威を張り、いまやアメリカと互角の、政治と経済のパワーを誇示しつつある。共産党創設と人民共和国建国の「二つの百年」を目前にした、彼らの思考と行動原理を読み解き、緊迫する国際情勢を展望する。

目次

序章 パワー・シフトのなかで
第1章 「富国強軍」へ向かう中国
第2章 「中米新型大国関係」とその矛盾
第3章 「一帯一路」の対外戦略
第4章 「海洋強国」の野望
終章 「Gゼロの世界」と膨張する中国

著者等紹介

三船恵美[ミフネエミ]
駒澤大学法学部教授。早稲田大学第一文学部卒業。米国ボストン大学大学院修了(MA in International Relations)。学習院大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(政治学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、中部大学国際関係学部専任講師、同助教授、駒澤大学法学部准教授を経て現職。専攻は中国の外交・国際関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紙狸

18
2016年刊行。習近平政権スタートから数年たったタイミングで、中国外交を論じた。「西側」の論理に引きつけるのではなく、中国独特の論理や言葉使いに根気よく付き合っている。面白い例が2014年12月1日「人民日報」1面掲載の中国外交に関する評論。中国は経済利益ばかりを追求するのではなく、「義」と「利」の均衡を実現するのだという。著者は書いていないが、儒教、朱子学の伝統がここにも生きているのか?と思った。2024/07/12

Haruka Fukuhara

4
図書館で借りて読み直し。面白かったけど読み込む前に期限が来てしまった…2017/06/11

Haruka Fukuhara

4
ざっと眺めたところ共感できそうな部分が多かった。それとは別に、あとがきについて考えていた。中傷やらなにやらは実名で何かを論じるとき不可避なのだろう。そうしたリスクをとって表に出ている人には敬意を表したい。―強くなければ生きられない。この方の場合は夫が支えてくれたようだがそうした存在の大きさを感じた。If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.2017/04/12

3
習近平体制下の中国がとる外交・安全保障戦略を、東アジアだけでなく世界規模で概観する。その中で、中国が日本との関係をどのように位置付けているか-それは著者の主張によれば他国への態度と比べてもきわめて強硬であるのだが-が見えてくる。最新のトピックを幅広く取り上げているだけに、まだまだ今後がわからない部分も多いが、著者の見方は前述したとおり明確である。もう一つ重点的に取り上げられているのは米中関係だが、ここではG2論と中国の主張する米中新型大国関係の違いが印象的だ。2019/04/09

三城 俊一/みきしゅんいち

1
「中国は軍拡を進め、世界の脅威となっている」という言説はよく聞く。しかし冷静な視点で中国政府内の思惑や権力闘争を分析し、かつ一般向けに噛み砕いている本はあまり多くない。習近平主席の唱える「一帯一路」や「核心的利益」などのキーワードを解説しつつ、中国が海洋進出に向かうメカニズムを描いている。ただ勇ましいだけの反中本とは一線を画した、問題意識のある良書だと思う。2018/10/30

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