講談社選書メチエ
知の教科書ライプニッツ

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586030
  • NDC分類 134.1
  • Cコード C0310

出版社内容情報

近代の黎明に輝く知の巨人ライプニッツ。法学、政治学、歴史学、神学、哲学、数学、経済学、自然哲学、論理学を統合する思想を読む。17世紀中葉のドイツに生まれたゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716年)は、哲学、論理学、倫理学のみならず、歴史学、政治学、経済学から、数学をはじめとする自然科学に至るまで、まさに知の全領域を横断した知の巨人である。ルネ・デカルト(1596-1650年)、バールーフ・デ・スピノザ(1632-77年)と並んで近代哲学の礎を築いたこの巨人が与えた影響は狭義の哲学のみならず、数学や文化交流にまで及ぶが、残念ながらライプニッツはみずからの思想を分かりやすい形では決して示さなかった。
ライプニッツが提示した概念はしばしば奇妙で抽象的である上、異なる見方を統合する傾向があるため、読者は常に困惑させられ、その思想の全容を理解するのは決して容易ではない。そこで、本書は専門的な議論や影響史についての記述を割愛し、大切なことだけを取り上げる。しかも、それをわれわれの経験から実感できるように描くことで、明快にして徹底的な内容をもちながら最良の手引きにもなる、という稀有な書物が実現されている。ライプニッツ思想の全領域をカバーし、要となる分野については重点的に検証しながら、形而上学、認識論、倫理学、政治思想の交わる領域を概観した末には、それらの基盤となる世界がモナドで構成されるという著名な説はわれわれ自身の生きることと深く結びつきながら理解されることになるだろう。
生きるための、生きることを理解するための哲学のリアルな姿がここにある。

謝辞
凡例
第一章 ライプニッツを読む
 1 ライプニッツ哲学の背景にあるもの
 2 ライプニッツを読む難しさ
 3 本書の使い方
第二章 神と最善の可能的世界
 1 知識の二つの原理
 2 神の存在
 3 神の本性
 4 あらゆる可能的世界の中の最善のもの
第三章 実体
 1 初期近代哲学における実体概念
 2 ライプニッツの実体論――単純性と単一性
 3 宇宙に対する視点としての実体
 4 相互作用と予定調和
第四章 理性的精神
 1 微小表象と意識のレベル
 2 必然的真理と生得観念
 3 知識
 4 同一性と選択
第五章 ライプニッツの哲学、そして哲学者としてのライプニッツ
原注
文献一覧
索引


フランクリン・パーキンズ[フランクリン パーキンズ]
著・文・その他

梅原 宏司[ウメハラ コウジ]
翻訳

川口 典成[カワグチ ノリシゲ]
翻訳

内容説明

一七世紀中葉のドイツに生まれたライプニッツは、哲学、論理学、倫理学のみならず、歴史学、政治学、経済学から数学をはじめとする自然科学に至るまで、まさに知の全領域を横断した巨人である。その思想の全容を理解するのは、きわめて難しい。専門的な議論や影響史を割愛し、大切なことだけを、われわれの経験から実感できるように描くきわめて稀有な入門書。

目次

第1章 ライプニッツを読む(ライプニッツ哲学の背景にあるもの;ライプニッツを読む難しさ;本書の使い方)
第2章 神と最善の可能的世界(知識の二つの原理;神の存在;神の本性;あらゆる可能的世界の中の最善のもの)
第3章 実体(初期近代哲学における実体概念;ライプニッツの実体論―単純性と単一性;宇宙に対する視点としての実体;相互作用と予定調和)
第4章 理性的精神(微小表象と意識のレベル;必然的真理と生得観念;知識;同一性と選択)
終章 ライプニッツの哲学、そして哲学者としてのライプニッツ

著者等紹介

パーキンズ,フランクリン[パーキンズ,フランクリン] [Perkins,Franklin]
ヴァンデルビルト大学卒業。ペンシルヴァニア州立大学で博士号取得(哲学)。現在、デポール大学教授。専門は、古代中国思想・近代ヨーロッパ哲学

梅原宏司[ウメハラコウジ]
1971年生まれ。立教大学兼任講師。博士(比較文明学、立教大学)。専門は、文化政策・文化研究・日本政治思想史

川口典成[カワグチノリシゲ]
1984年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了(宗教学)。著述家(舞台芸術)、演出家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

9
外国人に向けて書く時はコスモポリタン的に、ドイツ人に向けては愛国的に、対カトリックや対プロテスタントには以下同様というメンション相手に合わせる方式で思想を陳述したせいで読み解き辛い天才哲学者の解説。今存在するのは神が選んだ最高の世界線と説く悪名高い最善説についてやはり擁護を展開してるものの、優れた音楽家が協和音に不協和音を混ぜたり旨味だけじゃなく辛味や苦味もないと刺激が麻痺するとの論法で、この世の悪や苦痛や不幸がルート分岐の中でベストの選択肢と言われても説得はされない。英哲学者ロックと対比する説明が明快。2021/06/10

ゆきだるま

5
たぶん難解で散らばってるあろうライプニッツの理論の中でも、哲学的な部分だけを簡潔に解説してくれてる。 生物や他の物一つ一つはモナドからなり、モナドはそれぞれが全宇宙(神)を含む。そして宇宙を部分的に表象し、欲求する。例えば岩のモナドの表象や欲求は不明瞭で眠りに近い。そして人間のそれは明瞭で、これはいわゆる魂と言える。また、明瞭さは変化する。(例えば人間が岩みたいになる=気絶する、とか。)それが弱いことを微小表象といい、これはつまりフロイト的無意識のような。2021/08/23

左手爆弾

5
このシリーズは哲学の専門家が訳しているわけではないので、時々訳語が不適切な箇所が見られる。ただし、それも気になるほどではない。あくまでもライプニッツの哲学に焦点を絞り、生涯やその他の多様な活動は全部カット(このあたりは佐々木能章『ライプニッツ術』あたりが面白い)。ライプニッツ形而上学の出発点を経験を成り立たせるための真理条件に定め、無矛盾律と充足理由律の精緻化を軸に解説。話題は世界の善性にまで及ぶ。丁寧に読まないとわからない箇所もあり、入門書としてはなかなか良いのではないかと感じた。2015/10/31

ポルターガイスト

2
ライプニッツは原著をちゃんと読んだことがなかったので,モナドも予定調和説もかなり誤解してたんだなと思い勉強になりました。が,やっぱりよーわからん。原著をちゃんと読むしかないか。ライプニッツの思想の感じ,一部には魅力を感じる(充足理由律と予定調和のところ)がやっぱりおれは経験論タイプの人間らしい。「モナドには窓がない」とかキリスト教の三位一体説が背後に隠れてる感じがしてすごく違和感あるし,合理論的な発想にはどうしても「それあなたの欲望ですよね?」的な不信感を抱いてしまう。翻訳はこなれていてとても読みやすい。2020/03/28

0
〈流〉○2015/10/12

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