講談社選書メチエ<br> 平泉―北方王国の夢

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講談社選書メチエ
平泉―北方王国の夢

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  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062585910
  • NDC分類 212.2
  • Cコード C0321

出版社内容情報

北海道や中国と独自に交易し、京都、鎌倉とは異なる第三の勢力を形成した平泉。最新研究に基づき全体像を描き、「東北」を問い直す。

奥州藤原氏の政庁平泉館跡で発見された儀式・宴会用の大量のかわらけ。
金、馬、鷲羽の交易で得られた巨富。
紛争の調停者として所領支配を保障し、平和の実現をもって家臣団を統合する独自の安全保障体制――。
中国大陸までつながる交易網を築き、一宮二十二社制や真言密教など中央の神仏体系を拒否した奥州藤原氏は、列島に第三の勢力として君臨した。
北緯三十九度以北に華開いた、ヤマトともアズマとも異なるもうひとつの世界を明らかにし、歴史のなかの「東北」を問い直す。

はじめに――「平泉」とは何か
序章 北方王国の夢
第一章 一〇・一一世紀の北方世界――平泉前史
  1 初代清衡――父母と系譜
  2 鎮守府と奥六郡――北方政策の転換
  3 北緯四〇度の北――躍動する蝦夷社会
第二章 奥州藤原氏誕生
  1 前九年合戦勃発
  2 清衡誕生と安倍氏滅亡
  3 延久合戦と諸勢力の抗争
  4 後三年合戦
  5 奥州藤原氏誕生――新たな時代の到来
第三章 平泉開府と北方王国
  1 平泉開府――奥六郡から衣川の南へ
  2 平泉・奥大道と津軽・外浜
  3 「えぞが千島」と「奥の御館」の誕生
  4 「平泉の富」の三点セット――平泉政権の支配領域
  5 蝦夷ヶ島の交易拠点厚真
  6 北方王国の夢
第四章 仏教都市平泉と平泉仏教
  1 仏教都市平泉
  2 「寺塔已下注文」が語るもの
  3 多宝寺落慶――中尊寺造営の開始
  4 初期中尊寺伽藍の完成
  5 金色堂・供養願文伽藍(鎮護国家大伽藍一区)
  6 平泉仏教と日本国・東アジア
  7 北の辺境の宗教世界
第五章 「北方王国の都」平泉
  1 清衡から基衡・秀衡へ
  2 都市平泉の発展
  3 「北方王国の都」平泉の完成
  4 都市平泉の副都心・水陸交通の要衝、衣川
  5 「大平泉」と都市平泉のネットワーク
  6 京都・九州・大陸とのネットワーク――海のシルクロードの東の終点平泉
終 章 未完の北方王国
  1 「天下三分」から自治王国としての「奥州幕府」構想へ――秀衡最後の政治構想
  2 最後の「征夷」戦争

【著者紹介】
一九五〇年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。現在、弘前大学教育学部教授。専攻は日本中世史。主な著書に、『平泉』(岩波新書)、『奥州藤原三代』(山川出版社)、共編著に『北の内海世界』『北の環日本海世界』(いずれも山川出版社)、『十和田湖が語る古代北奥の謎』(校倉書房)、『北の防御性集落と激動の時代』(同成社)がある。

内容説明

奥州藤原氏の政庁平泉館跡で発見された儀式・宴会用の大量のかわらけ。金、馬、鷲羽の交易で得られた巨富。紛争の調停者として所領支配を保障し、平和の実現をもって家臣団を統合する独自の安全保障体制―。中国大陸までつながる交易網を築き、一宮二十二社制や真言密教など中央の神仏体系を拒否した奥州藤原氏は、列島に第三の勢力として君臨した。北韓三十九度以北に華開いた、ヤマトともアズマとも異なるもうひとつの世界を明らかにし、歴史のなかの「東北」を問い直す。

目次

序章 北方王国の夢
第1章 一〇・一一世紀の北方世界―平泉前史
第2章 奥州藤原氏誕生
第3章 平泉開府と北方王国
第4章 仏教都市平泉と平泉仏教
第5章 「北方王国の都」平泉
終章 未完の北方王国

著者等紹介

斉藤利男[サイトウトシオ]
1950年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。現在、弘前大学教育学部教授。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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アキ

27
陸奥の地に誕生した奥州藤原氏の平泉政権は、平氏政権や鎌倉幕府より半世紀以上早いわが国最初の武士の政権。初代清衡が前九年の役・後三年の役を生き延び、仏教立国を目指し1105年53歳で中国に倣い今はない中尊寺多宝寺を完成させた。70歳時、生身往生信仰から発想し、聖性を表す金色の世界でミイラ化して金色堂に祀ることを発想。基衡・秀衡が毛越寺・無量光院を造営し、100年弱に渡り平泉文化を栄えさせ、蝦夷と中国を結ぶ交易の中心になる。現在の中尊寺はあくまで焼失した残りであり、発掘調査の新知見も残念ながら推論でしかない。2018/10/14

アメヲトコ

3
同じ著者による岩波新書『平泉』から24年、その後の発掘調査の進展にともなう新知見も豊富に盛り込み、スケールも広がっています。ただ「北方王国の夢」を語りたいがためか、その事実だけでそこまで話を広げていいのかと思う点もちらほら。2015/09/30

kentake

3
平泉を拠点とする奥州藤原氏は、京都の平安朝から独立した政権として北奥羽に君臨しており、その勢力圏は遠く蝦夷にまで及んでいたという。限られた史料から、ダイナミックに仮説を検証していく本書の内容は、文句なく面白い。これまで多くの謎に包まれていた古代の東北の姿が俄かに理解できたように感じられる。2015/02/23

天茶

1
★★★★★2023/06/17

takao

1
北方世界の平和を目指して 大鰐の神岡山には大安国寺が存在。浪岡城は、平泉と関係か?平泉の富の3点セットは金・馬・鷲羽(北海道産)。 2019/09/05

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