出版社内容情報
曹操の革新、諸葛亮と劉備の緊張…当代の第一人者が徹底的に「史実」にこだわって、三国時代の歴史的ダイナミクスを明らかにする!曹操の革新、諸葛亮と劉備の緊張…当代の第一人者が徹底的に「史実」にこだわって、三国時代の歴史的ダイナミクスを明らかにする!
渡邉 義浩[ワタナベ ヨシヒロ]
著・文・その他
内容説明
曹操の革新性の本質、諸葛亮と劉備の緊張関係、孫呉の盛衰の基底にある力学―史実の三国時代は、権力確立を希求する君主たちと、儒教的思想と文化、名声を力とする「名士」がせめぎ合う、緊迫した政治空間であった。中国史上の大転換点として、史実の三国時代を当代の第一人者が描ききる、これぞ、三国志研究の決定版。
目次
第1章 黄巾の乱と群雄割拠
第2章 曹操と荀〓(いく)
第3章 文学の宣揚
第4章 孫呉政権と揚州名士
第5章 劉備と諸葛亮
第6章 君主と文化
第7章 死して後已む
第8章 孫呉政権の崩壊
第9章 魏晋革命と天下統一
終章 中国史上における三国時代の位置
著者等紹介
渡邉義浩[ワタナベヨシヒロ]
1962年、東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻修了。文学博士。現在、大東文化大学文学部中国学科教授。三国志学会事務局長。専攻は中国古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あも
80
本邦、三国志研究の第一人者…は言い過ぎかもしれないが、ムック本や雑誌に至るまで三国志関連書籍を読むと必ず目にする渡邊先生。三国志の世界を思想で理解する入門書として素晴らしい内容。五行説によると漢王朝は火徳=赤の王朝なのに、なぜ『蒼天すでに死す』なのか。という長年の疑問が解けたのは感無量。儒教と曹操の唯才主義の関係や、中央政権(魏、晋)に対する呉・蜀の立ち位置がよく分かる。標榜する思想がゆえにその行動をせざるを得なかった事情まで。はい、冒頭で大半が脱落した中、最後まで読んでくれたあなたは優しい!ありがとう!2019/10/27
鐵太郎
13
三国志の時代を「名士」と言う概念で解説してくれる渡邉義浩氏の、三国志の流れを再び解説してくれた著作。たとえば、名士である諸葛亮は劉備亡きあと蜀漢を掌握し後漢の儒教国家を継承しようとして結局挫折し、孫呉最後の皇帝孫晧は文化的価値を存在基盤とする名士と対決して暴君と呼ばれ、曹丕は儒教国家である後漢から堯舜革命をなぞって「天下を公と為す」理念により名士を取り込んで曹魏を正当化した・・・こんな解説、この方以外からは得られません。いろいろな意味で、難しく面白い本です。読み応えあり。2022/09/27
ジュンジュン
8
著者のコンセプトは一貫している。即ち、「名士という概念を設定して、三国志を分析すること」(229p)。範囲も、諸葛亮死後も視野に入れて、三国の滅亡・西晋の統一まで射程に捉えている。演義では地味な曹丕や曹叡の業績をも掘り下げる内容の濃さに、思わず腰が引けた(汗)。2021/06/02
GEO(ジオ)
2
やっと読み終わった。やっぱり「名士」なんてありもしない概念を勝手に作っちゃうのはどうなんだろう?2012/08/30
jm
1
三国志の世界を、政治構造的に分解して解説してくれており、とても面白かった。小さい頃から思っていた、 ・何故、劉備は強いし、民から慕われてるのに領土を持ってないの?土地を流転するの? の疑問には、完璧な回答があったし、劉備と諸葛亮の真の関係や、曹操の革新性、魯粛の優秀さ、劉禅実は暗君にあらず、など三国志の見方が深まること必至です。 特に魯粛は一番見方変わったなぁ。2021/04/21