講談社選書メチエ<br> 誓いの精神史―中世ヨーロッパの“ことば”と“こころ”

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講談社選書メチエ
誓いの精神史―中世ヨーロッパの“ことば”と“こころ”

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  • サイズ B6判/ページ数 216p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062583916
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0322

内容説明

誓いの言葉はなぜ間違えてはいけないのか。なぜ文書よりも言葉が重視されたのか。決闘の勝ち負けによって真偽が定まり、目撃していなくても事件の証人になることができる、その根拠はどこにあるのか。西洋中世の特異な習俗から、中世人の「こころ」に迫る。

目次

第1章 ことばの射程(ことばと文化;文字の文化と声の文化 ほか)
第2章 「誓い」の場(人を試す「誓い」;神明裁判 ほか)
第3章 人を信じる「誓い」(信頼を基盤とする社会;雪冤宣誓 ほか)
第4章 人を縛る「誓い」(言葉の呪縛力;『黄金伝説』 ほか)
第5章 「誓い」の位相(「誓い」の本質は何か;封建制の「誓い」 ほか)

著者等紹介

岩波敦子[イワナミアツコ]
1962年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、ベルリン自由大学博士課程修了。Dr.phil.(歴史学)。慶應義塾大学理工学部准教授。専攻は、ヨーロッパ中世史、概念史、史料学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Defricheur

10
欧米社会に今もなお残る「誓い」という所作が,特に中世ヨーロッパの秩序形成においてどのような意味を持ったか,豊富な一次文献の考察から読み解く。カノッサの屈辱から叙任権闘争に至る歴史的過程は,聖俗両権力の相互関係という「上からの目線」で語られることが多いが,日常の紛争解決や領主・封臣の関係といった「下からの目線」でも極めてアクチュアルな問題であったことを,「誓い」という視角を通じて知ることができる。2021/01/03

kuroma831

5
ヨーロッパ中世では文字情報の証文よりも音声情報としての「ことば」による誓いが重視された。裁判でも客観的事実の証明ではなく、無実を誓えば無罪になり、それが偽誓と看做されれば処罰されるという驚き。言霊の超自然的なものとも似て非なるものであり、誓いを破るものは同じコミュニティのものとは看做されずに社会的追放となる、人的紐帯の役割を果たしていた、という面白さ。確かに宣誓などは明治以降に日本に輸入されたものであり、かなり西洋的な概念だな。唯一神に背く自信があるのか?というキリスト教の世界観だからこそ通じるものかも。2023/05/11

maqiso

4
中世ヨーロッパでは発せられる言葉が重んじられ、裁判では原告が正しいことや自分が無実であることを宣誓で証明した。神明裁判や決闘は誓いの成否を明らかにするために行われた。臣下は王に臣従の誓いをしたが、叙任権闘争では誓いがどこまで有効かが争われ、教会では言葉と意図のずれも論じられた。誓いの重視は社会での合意形成の重視を意味する。2022/04/21

ikeikeikea

2
「裁きの場で求められたのは、勝ち負けという形の裁定ではなく、協議、譲歩、妥協、そして和解だった。どちらが正しくどちらが間違っているという裁定を下すことよりも、争っている両者のどちらもが納得できる形での和解こそが理想の形だった。」現代日本の裁判観について語られたもののように思うが、これが西洋中世の裁判に対する考えなのだ!日本の法文化は特殊、西洋は違うといった思い込みに再考を迫られて大変面白かった。2019/04/01

あだこ

2
音声中心的な中世が、どのように文字を併用して「誓い」を「誓い」たらしめるように至ったのかを、声に対する認識、すなわち「こころ」の変化から素描。時代がいったりきたりでわかりにくい。きっとそれはそのような価値観の変化は断続的に起きていったということかもしれない。2009/08/28

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