目次
第1部 儀礼と王権(日常生活をとおして見る歴史の再構成―衣服を中心に;天皇の即位儀礼―孝明・明治・大正三天皇の比較;ヨーロッパ史における「王権」の表象―教皇の即位儀礼)
第2部 モノで読む歴史(モノで語る歴史―考古学と博物館;古代国家と稲―一二〇〇年前の稲の品種札の発見から;“オランピア”の変貌―美術史学と歴史記述;写真史が生れる瞬間―ウジェーヌ・アジェと仏・米現代写真の言説)
第3部 歴史とアイデンティティ(植民地期インドにおける歴史記述―パールシーの書く「自分たち」の歴史;文学は歴史をどう書くか―日系アメリカ文学の場合;歴史の多声性―歴史観の人類学的考察)
著者等紹介
甚野尚志[ジンノタカシ]
1958年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専門は西洋中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にたいも
6
瀧田佳子九章「文学は歴史をどう書くか-日系アメリカ文学の場合」は、日系アメリカ人の歴史と文学の成り立ちについての論考。ワカコ・ヤマウチの戯曲中で「私たちの物語はなぜ書かれないのか」という2世の問いに、1世の母親が「私たちは、ここではいないも同然だから」と答える。「かかなければ誰もその存在を知ることができないではないか」と抗議する娘。日系アメリカ文学は、アメリカの「大きな歴史」から欠落した部分を補う。2023/12/15
takeapple
6
1つの見方にとらわれるのではなく、幅広い視野から歴史を見ることが今こそ求められているのだろうなあ。衣服、天皇制、ローマ教皇、ネアンデルタール人、稲、オランピア、写真、ゾロアスター教、日系アメリカ人、韓国史、知らないことはたくさんある。参考文献も充実している。こういった講義があるのはさすが東大教養学部なんだと思う。2015/04/18
Go Extreme
1
歴史ー個人や集団のアイデンティティ形成に深く関与 儀礼と王権: 天皇の即位儀礼 孝明帝の即位式 明治・大正期ー西洋的要素 モノで読む歴史: 物質文化の視点から歴史考察 古代の稲作や品種管理発見→歴史的な農業実態 パールシーのアイデンティティ 歴史の主体性: 記述の背後・意識や社会状況も考慮 多様な経験と認識の共有 近代的歴史学の限界: 多様な歴史観を排除→歴史の実感と乖離 伝統的な歴史観と近代的歴史学の関係再考 現代での歴史: 現在の生活や文化に深く根ざす 歴史の理解→個人のアイデンティティや社会構造理解2025/01/29