内容説明
1930年代、ナチス・ドイツ。党・外務省・国防軍の熾烈な権力闘争で極東外交がゆれうごく。無関心なヒトラー、「親日」リッベントロップ、「親中」国防軍、「反共」カナーリス…。混乱と無秩序のなかで、なぜ「日独防共協定」は成立したのか。大戦への発火点を、外交・諜報の両面から精緻に検証する。
目次
プロローグ それぞれの死
第1章 ナチズムの極東政策
第2章 挫折した交渉 1935年9月~12月
第3章 第2次交渉の暗闘 1936年1月~11月
第4章 反ボルシェヴィズム
第5章 情報交換と破壊工作
エピローグ スターリン暗殺へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
15
『日本陸軍の対ソ謀略』(https://bookmeter.com/books/11507368 )に続いて、これも当たりだった。自明と思われがちな日独の提携路線が、実は大変な紆余曲折の末に成立したことがよく分かる。ヒトラーは日本に無関心だったし、ドイツ国防軍は資源調達と武器売り込みの観点から中国との協力を望み、日本にはいい顔を見せなかった。ならば日独接近の立役者は誰だったのか?というお話。鍵を握った4人(大島浩、リッベントロップ、カナリス、ゾルゲ)の独白から始まるドラマ仕立ての構成にも惹き込まれる。2025/09/29
印度 洋一郎
7
日独防共協定締結に至る、日独間の外交的な動きを分析。日本もドイツも政府自体はそれほど熱心では無く、ドイツに一方的な思い入れを抱く大島大使へ、手柄を上げて自分の脆弱な権力基盤を強化したいリッベントロップと反共政策の一環として話に乗った軍情報機関のカナリスが接近したのが発端だった。この時点で既に呉越同舟なのだが、兵器や軍事顧問のお得意様である中国との関係を重視するドイツ軍や、極東問題に関わらずという立場のドイツ外務省、そして無関心なヒトラーの思惑が入り乱れる中、結果として締結されたが、中身は玉虫色だったとか。2013/07/27
千本通り
4
日独防共協定それ自体は当時のドイツ国防軍が親中国派で占められていたのに、親日に切り替えた功績は大きいが、日本はもちろんドイツ側も一部の人間の暗躍から成立した(ヒトラーはそんなに乗り気じゃなかった)。日本側はドイツオタクといってもいい陸軍武官大島浩が、海軍武官小島秀雄を通じて海軍にも影響を与えていたことが書かれてある。2024/01/31
おい
2
どこの国も一枚岩でなく、様々な人物が様々な思惑で、様々な活動をし、その積み重ねやちょっとしたズレから大きな歴史の動きに繋がる。 ★★★2018/12/05
ヨシフおじさん
1
ドイツ国防軍は資源および資金面の関係で親中的、外務省は第一次大戦の恨み等から反日派、日本軍部も遠い国の話なのでそこまで本腰とはいかない、ほんの一部の人間の努力(?)のおかげで日独防共協定が結ばれた。独ソ戦の際、日本が満州からソヴィエト攻撃を行えば勝てた云々言われているが、夢のまた夢であることがわかる。2020/10/20
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