出版社内容情報
戸森 しるこ[トモリ シルコ]
著・文・その他
内容説明
私たちの学年の理科の先生は、洋風の印象的な顔立ちをしている。そして、結婚していないのに、子どもがいるっていうウワサ。私はその先生の真似をして髪を伸ばし始めた。そして、先生をみつめる生徒は、もうひとりいた。
著者等紹介
戸森しるこ[トモリシルコ]
1984年、埼玉県生まれ。武蔵大学経済学部経営学科卒業。『ぼくたちのリアル』で、第56回講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。同作は児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2017年度青少年読書感想文全国コンクール小学校高学年の部の課題図書に選定された。日本児童文学者協会会員
中島梨絵[ナカジマリエ]
イラストレーター。滋賀県生まれ。京都精華大学芸術学部卒業。書籍の装画や挿絵を中心に活動中。主に透明水彩を使用(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はる
64
戸森さんは意欲的に既成の児童文学の枠を超えるような作品を次々と描いていますね。主人公の少女は一風変わった理科の女性教師に憧れてしまいます。純粋だからこそ、その想いはストレート。刺すような言葉のやりとりに空気が張りつめます。ちょっとドキっとしてしまうような官能的な表現もあって(考えすぎ?)、何となくゾワゾワと読了。表紙の絵の先生の顔がわざと隠れているのも、わあ…、という感じ(笑)2018/04/16
おかだ
55
ふうむ、解釈が難しい作品。自分を虐める女子を嫌いになれないむしろなんか好きだ!というちょっと難しいお年頃の中一女子・瞳が主人公。理科の女教師・人見先生に憧れ、クラスメイトの男子・正木君を含めた3人で理科準備室で放課後を過ごす。瞳の人見先生への想いは、多感な時期の同性への憧れってことでいいのだろうか。正木君と順調に進んでいくのかな…?ドMのレズビアンに成長していく可能性がどうしても拭いきれない…! 児童書だけど、なかなか児童が触れにくい価値観や繊細な心理が描かれている。中学生が読んだらどう感じるのかな。2018/06/04
ぶんこ
46
中学時代の「身体中に剣山の針が突き刺さっているかのような」ヒリヒリした感じが蘇ったようでした。嫌われているけれど、自分は憧れている同級生と、自分だけを見ていてほしい憧れの先生。憧れの先生への思いを分け合うかのような同級生の男子。この結城瞳と正木真紗樹の「ぼっち」ではあるが、それにめげる余裕もないほどの激しい憧憬。この二人は強い。誰かを好きになるって凄い。これが児童書とは驚きです。2018/04/26
tan
28
児童書、小学生向けにと思っていたけどちょっと苦しいかなと。戸森さんは2冊目でテーマも内容も悪くはないのですが 思った以上に児童書的ではない感じがしました。瞳は空気が読めないと言いながら人の心の動きに敏感だし、マサキも強暴なのかおとなしいのかよく分からない性格で捉えきれませんでした。もしかして児童書に向いていない方なのかな?とも思ってしまいました。一度児童書以外を読んでみようかなと思います。2017/10/29
ムー
26
複雑な心の機微をここまで細かに表現できるなんて。こういう気持ちってあるなぁと思いながらもそれをなかなか言語化できないこともあるけれど、それをこの作者は、1つずつ丁寧に表現している所にとても感動した。 憧れなのか好きなのか愛なのか…。私も結城さんと正木くんが人見先生に抱く感情は何なのか気になった。2人にとって人見先生との関わりはある意味絶対的なものであり、また心の支えや活力になっていた。人が人に抱く感情って本当に複雑。白いマーガレットを贈った人見先生の友人と人見先生は、きっと結城さんによって救われたと思う。2017/11/21