出版社内容情報
日本文学の「今」がこの1冊でわかる!2016年のベスト短編小説アンソロジー。解説は島田雅彦氏。【収録作品】
「あひる」 今村夏子
「重力のない世界」 上田岳弘
「地獄には河馬」円城 塔
「Credo」 荻野アンナ
「被写体の幸福」 温 又柔
「胡同のジャスミン」 金井美恵子
「ビゼンクラゲは大型クラゲ」 川上弘美
「ビニール傘」 岸 政彦
「ペギーについて私たちが知っていること」 島田奈穂子
「食べられる夢」 島田雅彦
「短冊流し」 高橋弘希
「移動販売車」 高村 薫
「半減期を祝って」 津島佑子
「おおかみ」 早助よう子
「その日暮らし」 古井由吉
「眼魚」 星野智幸
「カブールの園」 宮内悠介
「アジアの純真」 横山悠太
「ゴーイング・ネイティブ」 リービ英雄
解説 島田雅彦
日本文藝家協会[ニホンブンゲイカキョウカイ]
編集
内容説明
注目の新人から名手の珠玉作まで、2016年のベスト短篇小説アンソロジー。2016年刊行の全文芸誌掲載作品から精選した19篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょき
37
2016年に発表された日本文学会を代表する短編が19編。どれも良かったが、心に残った作品をいくつか挙げておく。亡くなった津島佑子さんの「半減期を祝って」、近未来SFディストピア。今村夏子「あひる」、どことなく残酷だがほっとする。萩野アンナ「Credo」、癌と抗がん剤、母の介護に追われる日々。古井由吉「その日暮らし」、相変わらずの難解さだがじっくり読むと深い味わい。リービ英雄「ゴーイングネイティブ」、凄い作家なのがよくわかる。まさに、「小説は時代を映す鏡」であると言える。2017/05/18
きさき
11
★★★☆☆:「眼魚」「ビゼンクラゲは大型クラゲ」「食べられる夢」のみ完読。川上弘美の語りはフォークナーっぽい。2018/06/02
かさ
1
円城塔が別府の地獄めぐりを題材に小説を書いていて笑ってしまった。金井美恵子の「胡同のジャスミン」、岸政彦「ビニール傘」は好きだと思った。2021/08/09
の
1
現代日本文学の最前線を行く作家たちによる短編集。政治経済問題をSFで綴る作品もあれば、ありそうでない日常を語るエッセイ風作品もあり、日本文学の幅の広さを窺うと共に、テーマにおいては不条理な体験と、それに起因する漠然とした不安がどの作品からも読み取れたのが、印象に残った。読者である自分と主人公達は同一人物ではないが、小説中の過去現在未来の社会は自分と同じものであって、エピソードも現在日本の時代を反映している。留学や海外で働く作品が出てきたのも、越境してアイデンティティを失っているのに気づかされるのが新鮮。2017/07/27
ララ
1
まだ読んだことのないいろんな作家さんの本を読みたくて短編集を読んでみた。実は短編は苦手なのだが、これは2016年のベスト短編集だけあって面白かった。「被写体の幸福」「ペギーについて私たちが知っていること」が好き。2017/06/13